山火事は「何も残らないほどの高温だった」

加州ノースランチの火災、捜索に人類学者も

焼け落ちた住宅跡を捜索する捜査官。米カリフォルニア州パラダイスで10日撮影(2018年 ロイター/Stephen Lam)

[ノースランチ(米カリフォルニア州) 12日 ロイター] - 米カリフォルニア州ロサンゼルス近郊に住むアンディ・シュルツさん(53)と妻のマリサさんは、丘を下って3方向から押し寄せる火によって、自宅が跡形もなく焼け落ちたのではないかと恐れていた。

「もう終わりだ、自宅のある地区は焼けてしまうと思った。急速に広がった火の手に囲まれてしまった」と、内科医のシュルツさんは振り返る。

だが、12日に避難先からノースランチ地区に戻ったシュルツさん夫妻らが見たものは、消防士の消火活動で燃えずに残った自宅と13軒の住宅だった。

カリフォルニア州で発生している大規模な2つの山火事のうち、シュルツさんが住む州南部の火災では、少なくとも2人が犠牲になった。一方、州北部の火災では42人が死亡し、200人以上の行方がわからなくなっている。

シュルツさん一家は、幸運な方だ。

州南部の火災は、地元で「サンタ・アナ」と呼ばれる強風にあおられて拡大した。8日午後にロサンゼルス北西のシミバレー地区で発生し、これまでに4万6000ヘクタールが延焼したが、25%程度しか鎮火されていない。高級住宅地マリブにあるセレブの住居も含め、住宅370棟などが焼失した。

自宅を守ろうと、避難しない住民もいた。

マリブに住むトニー・ヘインズさんは、秒速27メートルの強風が吹き荒れる中、スキューバダイビング用のボンベを背負って酸素を確保。バケツに水をくんでは自宅に飛んでくる火を消し続けたと、地元テレビ局の取材に話した。

今も煙が漂う中、地区には少しずつ住民が戻り始めているが、焼け落ちた自宅を目にしてぼうぜんとする人も多い。

同じくマリブに住むマルセラ・シャークさん(82)と夫は、41年間暮らした自宅と家財道具が焼失してしまった。ちょうど、夫の92回目の誕生日のことだった。

「家はどうでもいい。建て直せばいいから。でも家の中にあったものが全て焼けてしまった。それがつらい。代わりが利かないものだから」と、シャークさんは地元テレビ局に話した。

行方不明者の捜索

一方、州北部のビュート郡パラダイスで発生した山火事の現場では、警察官や消防隊員に人体組織を判別する専門家が加わり、焼け跡で行方不明者の捜索を行った。

骨片や黒く焼けた人体の一部を判別する訓練を積んだ人類学者が、灰になった住宅跡を組織的に捜索した。

人口約2万6000人のパラダイスでは、周辺も含めて228人が行方不明になっている。遺体が見つからない場合もあり、捜索の進展を待つ家族や友人には酷な状況となっている。

「火の勢いがすさまじく、何もかも焼き尽くされてしまったところもある。金属すら溶けてしまったケースもある」と、ビュート郡の保安官は11日、記者団に説明した。「人体の何も残らないほど、炎の温度が高くなっていたことも考えられる」。

州北部の火災では5万3000人が避難。州の消防当局によると、12日までに4万6000ヘクタールが延焼し、6700棟が焼失、カリフォルニア州で過去最悪の山火事被害となっている。しかし、いまだに25%程度しか消火できていない。

消防当局によると、設営した避難所には1400人が身を寄せており、そのほとんどが近親者と連絡が取れているという。

ビュート郡の保安官事務所によると、捜索活動には9つの法執行機関から42人が参加。さらに近隣のカリフォルニア州立大チコ校などの研究機関から人類学者45人、14の消防署から消防士45人などが捜索に当たっている。

(Dana Feldman Daniel Trotta)

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