市場の信頼が失墜した今、混合型の資本主義に期待--ラウディシナ=A.T.カーニーCEO

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市場の信頼が失墜した今、混合型の資本主義に期待--ラウディシナ=A.T.カーニーCEO

米国発の金融危機は瞬く間に他国へ波及、世界は新たな経済秩序を求めている。今後、世界経済が立ち直るためのシナリオとは何か--。A・T・カーニーのCEOで、グローバル企業や政府機関のブレーンも務める、ポール・ラウディシナ氏に目指すべき進路を聞いた。

--米国発の世界金融危機がここまで急速に広がった根本原因をどのように考えますか。それはグローバリゼーションでしょうか、それともレバレッジ(テコ)の利き過ぎか、リスク許容度の行き過ぎでしょうか。

そのすべてにあるといえる。グローバル化のスピードは速くなり、かつ、あらゆるところに広がっていく。米国は現在、体系的な自信喪失が見られ、さらにレバレッジが高いということで、信用の失墜も急速かつ大きくなっている。

--過去の金融危機との違いは、どこにありますか。

大恐慌があった1929年当時の米国の株式市場は、個人投資家の比率はわずか2%だった。現在、個人投資家の占める割合は約50%。9月上旬以降の株価下落で影響を受ける個人投資家が多くなっている。また、実体経済への影響も、より短期に、より深く、より広く見られる。

しかし、大恐慌やリセッションを経験してきたため、ケインジアンの財政刺激策を受け入れる素地がより広くなっているようだ。市場の強靭性も備わっており、29年の大恐慌では株価が完全に回復するまで25年を要したが、今回はそれほど長くは要さないだろう。ただ、悪い点は景気悪化も世界へ伝播するスピードが速くなったことだ。

--投資マネーが世界のGDPの4倍にまで膨らんでいます。今、実体経済と金融とのバランス調整がなされていますが、この調整が済み、景気回復に至るまで、あと何年かかると思われますか。

景気回復の時期については、リセッションそのものが終息し、再びプラス成長になるという条件であれば、12~24カ月程度かかるだろう。

この25年で、GDPに対する金融資産の比率が大幅に上昇した。これは、途上国で過剰なまでの貯蓄が行われてきたからで、逆に先進国、特に米国において、過剰なまでの支出が行われてきた。その結果、貸し手と借り手が過度に貸し出し・借り入れを行うサイクルが起こった。今後の世界において、貯蓄と支出のバランスをはかるように調整しなければならない。

--IMFは、来年の成長率を日米欧ともマイナスと予測しています。足元の金融危機を過大視しすぎていませんか。

危機を過大視する理由として、ボラティリティの激しさがある。過去5年よりも、ここ1カ月間の変動幅のほうが大きい。原因はリーマン・ブラザーズの破綻と、その後議会が金融安定化法を一度否決したこと。この二つの出来事が増幅し、マーケットの信頼感を大きく損ねてしまった。貸し手と借り手の間、生産者と消費者の間、雇用者と被雇用者の間、そして政府と民間との間など、あらゆるレベルでお互いを信頼できない状況が見られるようになった。そうなると、消費者はおカネを使わないし、銀行は貸さないし、投資家も投資をしない。この金融危機がさらに大きな経済危機に発展する可能性も出てきてしまう。

--金融だけに限らず、実体経済にまでも公的資金を入れようとしている。経済社会にとってモラルハザードを招き、自由主義経済にとってもマイナスではないでしょうか。

そのとおりだ。2008年9、10月について、歴史書が作られるならば「とてつもないシフトが見られた」と書かれると同時に、「権力の中心が民から官へと移った」と書かれるだろう。かつての大統領候補だったゲリー・ハート上院議員が、「政府の介入を望まないならば、政府のポケットに手を突っ込んでカネを奪おうとするな」という発言をした。

しかし今、民間は政府のポケットに手を伸ばしている。それをすれば、われわれが望まない形で、政府が経済に介入してくる可能性がある。私は5年前に書いた著書の中で、サッチャー、レーガン時代の規制緩和から、リ・レギュレーション(再規制)へのスイッチが今後見られるだろうと、すでに予測をしていた。民間や個人が、住宅価値の下落は困る、失業は困るということで、次々に政府に助けを請うということ自体、政府の介入を意味する。ただし、政府の介入があれば、それに対する対価を何年か先に支払わねばならない。

--その対価はわれわれにとって厳しいものになりそうですか。

政府が大人として、冷静に物事を判断するのかによるだろう。同時に、官民労との間で、対話の質がどの程度進むかにもよる。官民労との間には、新たなる社会契約が必要だと思っている。状況が大きく変化する中、古いルールが死に体なのに新しいルールがない。市場はどっちの方向に動くか予測したいという意味で、安定性を求めている。現在そういったルールがないので、極端なボラティリティが見られるのだ。

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