鳥貴族社長「値下げすることは絶対にない」 大倉社長を直撃!値上げ後苦戦の理由とは?

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鳥貴族の新しいメニューブックには「国産100%」という文字が大きく載っている(撮影:吉濱篤志)

10月18日のメニュー改定で「メガハイボール」をグランドメニューに入れたし、その前の「とり釜飯」もそうだった。そのようなメニューをどう開発し、いかに原価率を上げないでやっていくかというのが1つだ。

加えて弊社の食材は国産100%だが、アンケート調査でうまく浸透できていないことがわかった。「国産国消」というキャッチコピーの認知度が低かったため、わかりやすくということで、10月18日からメニューブックの表紙に「鶏肉も!野菜も!食材は全て国産100%」というのを打ち出した。SNSも切り口を変えて、国産100%というのを伝えたい。

――今後、値下げする選択肢は?

絶対にしない。値下げして社員に対していい環境を作れるわけがない。その我慢が社員の待遇に影響する。おそらく、今、なかなか値上げできない他社は苦労していると思う。間違いなく人件費も高騰していくし、やはり労働環境をよくしていかないと人も集まらない。他社も本当はもっと適正な価格にしたいのではないか。

「期間限定の値下げもしない」

――賃金を上げたいというのが、いちばんだったのですか?

やはり上げていかなければならない。おそらく当社が価格改定後に好調が続けば、後に続いた外食企業もあっただろう。短期的に見ると確かに値上げできない。でも中長期で見ると今の外食は、適正価格にしていかなくてはいけない。

大倉忠司(おおくら・ただし)/1960年大阪生まれ。調理師専門学校卒業後、ホテル、飲食店勤務を経て1985年に「鳥貴族」1号店出店。1986年から社長、2009年に社名を鳥貴族に(撮影:吉濱篤志)

外食業界では価格を上げなければ従業員に還元できないのに、後追いになっている。アルバイトや社員を獲得するために賃金を上げざるをえず、経営が逼迫してきて値上げせざるをえなくなる。ここは勇気を持って値上げして、社員の労働環境の改善に使う。従業員が集まらなくなったら将来はない。顧客に集まってもらうだけではダメ。そもそも社員が幸せでなければ、お客様を幸せにできない。

経営者として社員がつらそうに働いているとか、離職率が高いとか、それほど悲しいことはない。われわれもまだまだだが、この会社に携わる顧客をはじめ、社員、ステークホルダーをどれだけ多く幸せにできるかが、企業経営の大きな目的だ。どのステークホルダーを不幸にしてしまっても会社は永続できない。

――今後、期間限定などでも値下げはしませんか?

しない。この価格改定に対して自分は大義を持っているからだ。

佐々木 亮祐 東洋経済 記者

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ささき りょうすけ / Ryosuke Sasaki

1995年埼玉県生まれ。埼玉県立大宮高校、慶応義塾大学経済学部卒業。卒業論文ではふるさと納税を研究。2018年に入社、外食業界の担当や『会社四季報』編集部、『業界地図』編集部を経て、現在は半導体や電機担当。庶民派の記者を志す。趣味は野球とスピッツ鑑賞。社内の野球部ではキャッチャーを守る。Twitter:@TK_rsasaki

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