なぜ沈まない?「水陸両用バス」のひみつ 忍者のように湖をスイスイ走る仕組みは?

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所要時間は陸上25分、湖上15分の合計約40分だ。この間、くノ一ガイドが忍者の掟や箱根の自然などについて解説する。

くノ一姿のガイド(筆者撮影)
新型バスでは復原性向上のため薄く軽量なシートを採用(筆者撮影)

ちなみに、3人いるくノ一ガイドは全員、伊豆箱根バスのバスガイドだ。同社営業部主任の靏田(つるた)知美さんは「最近は個人旅行をする人が増えており、プロのガイドから話を聞く機会が減っている。忍者バスに乗り、少しでも箱根の歴史や自然のことを知る機会にしていただければ」と、水に飛び込むアトラクションの側面だけでなく、観光バスとしての役割にも期待を寄せる。

ただ、実際に乗車してみると、サスや座席が固く、路面の舗装状態が悪いところに差し掛かると振動がかなり伝わってくるなど、乗り心地は決してよくないと感じた。

サスペンションが固い

この点は、コーワテック、伊豆箱根バスともに認識しており、「ベースがトラックなのでサスペンションが固い。そうかといって軟らかいスプリングに変えると車検が通らない」(設計)と説明する。であれば、トラックではなくバスをベースの車体に使えばいいのではないかという疑問もわくが、「日本製のバスのほとんどが、エンジンが後方に設置されている。スクリューの関係で船のエンジンも後方に設置しなければならず、難しい」(設計)という事情がある。

芦ノ湖では小田急グループが、2018~2020年度までに海賊船の新船建造や老朽施設の更新などに100億円超の大型投資をすることを発表している。新しい海賊船と忍者バスの乗り比べというのも、今後、箱根の新しい楽しみ方として定着するかもしれない。

森川 天喜 旅行・鉄道作家、ジャーナリスト

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もりかわ あき / Aki Morikawa

現在、神奈川県観光協会理事、鎌倉ペンクラブ会員。旅行、鉄道、ホテル、都市開発など幅広いジャンルの取材記事を雑誌、オンライン問わず寄稿。メディア出演、連載多数。近著に『湘南モノレール50年の軌跡』(2023年5月 神奈川新聞社刊)、『かながわ鉄道廃線紀行』(2024年10月 神奈川新聞社刊)など

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