人の本音は「視線の観察」でかなり読み取れる 「わかりあえない」と悩む人に教えたいコツ

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私はセミナーをするときに、「おはようございます。(ひと呼吸)今日はよくいらっしゃいました。(ひと呼吸)皆さんとご一緒できるのが……」という具合に、ゆったりしたペースで話し始めます。冒頭から早口で飛ばすと、身体感覚優位の人はついていけないという壁を作ってしまうことになります。

最初はゆったり話し始め、徐々にペースを上げていけば、身体感覚優位の人も無理なくついていくことができます。視覚的情報と聴覚的情報の両方を意識しながら伝えていけば、どの聞き手にもマッチした話ができます。

視線の動きを観察しよう

さらに、視線の動きは、もっと細かく見分けることができます。

視線が「左上に動く」ときは、視覚的な記憶を思い出しているとき。「楽しかった旅行先を思い浮かべてください」と質問すると、多くの人は左上を見ながら記憶をたどります。

視線が「右上に動く」ときは、視覚的に創造しているときです。「象とトラとライオンが一緒になった動物をイメージしてください」と質問されると、視線は一瞬左上を向いて、その後、右上に向くことが多くあります。今までに見たことが動物を映像化しようとするとき、この視線の動きが見られるのです。

たとえば、子どもに「どうして宿題をしなかったの?」と問いただすとき、視線の動きに注目してみましょう。「お腹が痛かったんだよ」などと答えるときに、視線が一瞬左下に来て、その後、右上に行くのは、話を創造しているからと考えられます。

視線が「左横に動く」ときは、すでに知っている音を思い出しているときです。「初めて買ったCDはどんな音楽でしたか?」と質問された人の多くは、視線を左横に動かします。

視線が「右横に動く」ときは、聞いたことのない音を創造しています。「10人の人の声を同時に聞いたとしたら、どんなふうに聞こえると思いますか?」と聞かれたら、視線は右横に動くと思います。

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自分自身と内的対話をしている人は、視線が「左下に動く」ことが多いとされます。「あなたが好きな3人の映画監督の特徴を教えてください」と聞かれて考えているとき、視線は左下に動きます。

そして、身体感覚にアクセスしているときには視線が「右下に動き」ます。「砂浜を裸足で歩くとどんな感触ですか?」と聞かれたときや「無重力で食事をするとき、どんな感じ?」など未体験の感覚をイメージするときも同様です。

必ずこの視線の動きが見られるというわけではなく、視線の左右が反転する人もいます。一般的に視覚優位の人は、まず視覚でイメージして(視線は上)、それから音をイメージ(視線は横)したり、身体感覚にアクセス(視線は下)したりします。

実は、このように視線の動きを観察することを、NLPという心理学・言語学の手法で「視線解析」「アイアクセシング・キュー」といいます。相手の視線を見るのは、相手が考えていることを知るという以上に、自分の伝え方を工夫するのに役立つのです。

同じ情報に触れても、受け取り方は人それぞれです。自分が話した内容が100%伝わるわけではありません。だからこそ、相手に合わせて、相手が受け取りやすい情報を伝えていくことが大切なのです。

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