駆け込み反動減で住宅業界は明暗クッキリ マンション堅調の一方、戸建ては大幅減

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同じように駆け込み需要がありながら、なぜマンションは10月も堅調を維持し、戸建ては急失速したのか。その評価については、専門家の間でも意見が分かれる。

戸建ては販売現場があおった?

不動産情報サービス会社、東京カンテイの中山登志朗・上席主任研究員は「戸建てはほぼ100%が実需。購入者は増税に敏感に反応したため9月までに駆け込み需要が多く発生し、その分、10月は落ち込んだ。それに対し、マンションは実需と投資、二段重ねの需要があり、10月も買い支えられた」と分析する。

営業現場の温度差を指摘するのは、不動産経済研究所の福田秋生・企画調査部長だ。「首都圏のマンション市場は大手中心で、販売現場の統制が取れていた。そのため、『あおる営業をするな』という本社の指示が守られた。だが、戸建ての販売現場は競争が激しく、本社の指示が行き届かず、需要を先食いしてしまったのではないか」。

一方、マンション分譲コンサルティング会社、トータルブレインの杉原禎之常務は客側の意識の差に注目する。「戸建て、特に注文住宅の場合は、設計が終わっていないと駆け込もうにも駆け込めない。そこで、余裕を持って下準備を始める。しかし、準備をしてしまうと欲しくなるのが人情。どうせ買うなら5%のうちに買ってしまおうという意識が働いたのではないか」と推察する。

このようにマンションと戸建ての明暗を分けた原因の分析はまだ定まっていない。だがいずれにせよ、住宅ローン減税拡充など政府が導入を決めた負担軽減策も、戸建てに関しては十分効果が出なかったというのが現状。今後も戸建ての受注低迷が続くようだと、住宅業界からさらに踏み込んだ増税対策を求める声が強まりそうだ。

猪澤 顕明 東洋経済 記者

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いざわ たかあき / Takaaki Izawa

1979年生まれ。慶應義塾大学卒業後、民放テレビ局の記者を経て、2006年に東洋経済新報社入社。『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部、ニュース編集部などに在籍。2017年に国内のFinTechベンチャーへ移り、経済系Webメディアの編集長として月間PVを就任1年で当初の7倍超に伸ばす。2020年に東洋経済へ復帰、「会社四季報オンライン」編集長に就任。2024年から「東洋経済オンライン」の有料会員ページを担当。

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