ホンダの元祖HV「インサイト」なぜいま復活? 縮小続く国内セダン市場に「6車種目」を投入
しかし、なぜこのタイミングでの登場なのだろうか。「インサイト=洞察という意味を持つこの車は、ホンダにとって時代ごとのメッセージを表す存在だった」と開発責任者の堀川克己氏は話す。今は電動化の時代、ホンダも2030年までに世界販売に占める電動車の割合を3分の2まで引き上げる計画を掲げる。もともとインサイトはホンダHVのパイオニアであるため、電動化戦略の伝道師として、再度登場することになったといえそうだ。
すでにアメリカでは今年6月からインサイトを市場投入し、9月までの4カ月間で約6000台を販売。ホンダは、インサイトを「シビック」と「アコード」の中間に位置づける。シビックは月3万台前後が売れているホンダの主力セダンだが、HVの設定がない。シビックとインサイトはプラットフォーム(車台)を共有しており、シビックのサイズで高級HVセダンが欲しい消費者を狙う。
ただ、一つ上の車格のアコードにはHV設定がある。ベースグレードの価格はインサイトが2万2830ドル、アコードHVが2万5100ドル。価格差は約2300ドルと小さいため、HVが欲しい消費者は選択に悩むところだ。
立ち位置を明確に打ち出せるか
インサイトの投入で国内向けのセダンのラインナップはかなりにぎやかになる。旗艦車種のレジェンドを筆頭に、クラリティPHEV、アコード、インサイト、シビック、グレイスと6種類になる。国内市場でのターゲットは40~50代の独身層だというが、この想定顧客層はクラリティやアコードと重なる。またアメリカと同様、シビックのHV版という立ち位置を明確に打ち出せるのかは疑問だ。
前出の堀川氏は「プリウスを意識せずに作った」と言う。一度「プリウスのライバル」としてのイメージから抜け出し、ホンダのHVの決定版として新たなポジションを構築したいとの思惑も透けるが、今やSUV(多目的スポーツ車)の勢いに押され全世界で縮小しているセダン市場で、それを実現するのは決して容易なことではないだろう。
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