アゴーラ再建の勝算は?浅生CEOに聞く ホテル再生の案件は多い、買収を続ける

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――だが、アゴーラの宿泊事業セグメントはまだ赤字が続いている。

伊豆の2つの旅館のうち南山荘は夕食のない宿泊特化型の旅館として、現在は収支トントンまで改善している。今井荘は春先の河津桜見物と夏の海水浴シーズンに需要が集中する傾向があり、平準化させるための方法を考えている。2012年12月期の赤字は、買収した各ホテルのリニューアルによる一時閉鎖の影響が大きかった。

浅草はもともとビジネスホテルで週末の稼働率が低かったが、観光地近くの立地を生かして海外から集客し、稼働率の平準化が進み、単月では黒字になっている。守口も赤字幅は縮小しつつある。堺も、これから取り組みの効果が出てくると見ている。

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収支均衡してきた伊豆の南山荘

――2007年からマレーシアで霊園の開発・販売事業も行っているが、前期に約20億円の減損処理を行い、大幅営業赤字の原因となった。

これは、香港の親会社が行っていた事業だ。日本式の霊園事業を持ち込もうとして始めた。当初は高級路線で販売を進めたが、うまく行かず、現在は廉価な墓地にして、販売が伸びて利益率はよくなった。今期は第3四半期までの累計でセグメント利益も6000万円の黒字を計上している。今後20~25年ぐらい続く息の長い事業であり、粛々と進めていきたい。

再生を必要としている案件は全国にたくさんある

――今2013年12月期は、通期で売上高70億円、営業利益2.5億円の計画だが、第3四半期までで、5900万円の営業赤字だ。営業利益の達成はどうみても難しいのでは。

堺のホテルはアゴーラのホテルで最大規模だが、前期には3カ月しか業績に影響していない。これが通期寄与することが売上高急増の理由だ。また、これから年末にかけては、学会シーズンや忘年会シーズンであり、料飲部門の売り上げがピークを迎える。この経過を見てからでないと、損益は何とも言えない。8月に一度、業績の下方修正を行ったが、現時点では、何とか通期の宿泊事業のセグメントを黒字にして、計画の達成を目指したい。

――来期以降の計画は。

宿泊事業のセグメントはなんとしても黒字化し、増収増益としたい。繰り返しになるが、再生を必要としている旅館、ホテルは全国にたくさんあり、買収を続ける。

柿沼 茂喜 東洋経済 記者

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かきぬま しげき / Shigeki Kakinuma

入社以来、一貫して記者として食品・外食、金融・証券、電力・ガス・石油、流通、精密機器、総合電機、造船・重機などの業界を担当。この間、『週刊東洋経済』『会社四季報』『金融ビジネス』の各副編集長、『株式ウイークリー』編集長、編集局次長などを経て現職。

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