レクサス新型「ES」が背負った2つの重大使命 歴史ある主力車種が「ミラーレス」で凱旋帰国

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ミラーレス車の海外展開について、レクサスインターナショナルの澤良宏プレジデントは「グローバルでみると、西欧は大丈夫だが、そんなに認められていない。法規の動向や(消費者の)ニーズを考えてやっていきたい」と話すにとどめた。

解禁された国内でもカメラがカバーする範囲が従来のミラーと同等であることや、モニターの取り付け位置を従来のミラーと同じような位置にすることが求められるなど、条件は少なくない。ミラーレス車は慣れるまでに心理的不安や違和感を抱く人もいるとみられ、見え方や位置に配慮しているためだ。

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もっともミラーレス車は単なるカメラへの置き換えではなく、自動運転にもつながる技術だ。カメラで撮影した画像を解析して車線変更時のアシストや進入車両のアラート機能、速度調整などとも連携することで、自動運転の精度を高める運転に近づいていく。ミラーレス車はドイツ勢もBMWやダイムラーなどが開発を積極的に進めており、将来を見据えた競争は激しい。今後は海外も含めてミラーレス車が増えていきそうだ。

FF採用でセダンの復権狙う

一方、レクサスESの日本初投入はもう一つの使命を帯びている。セダンの復権だ。レクサスや高級車のセダンでは珍しく、大衆車と同じFF車(前輪駆動)としており、同じセダンでFR車(後輪駆動)の「GS」や「IS」とは異なる。車格ではGSと自社競合しそうだが、トヨタは顧客のすみ分けを狙う。

レクサスインターナショナルの澤良宏プレジデントはESの国内投入で新たな顧客の獲得を狙う(撮影:大澤誠)

澤プレジテントは「FRのGSは長距離をツーリングすることをコンセプトにしているが、ESは上質、快適性にこだわり、FFの良さを生かした広い室内空間が特徴だ。顧客の使われるシーンが違う」と話す。40~50代を中心に競合する輸入車メーカーからの乗り換えなど新たな需要を掘り起こしたい考えだ。

レクサスブランドでは昨年から新型車や改良車の投入が相次ぐ。昨年は最上級クーペ「LC」を発売したほか、小型車「CT」、セダン「GS」、SUV(スポーツ多目的車)「NX」を一部改良。さらに最新技術を導入した旗艦セダン「LS」を発表するなど、攻勢をかけている。年内には小型SUV「UX」も発売予定で、大型から小型、クーペ、セダン、SUVなどラインアップが一気に広がっていく。レクサスの2018年1~9月の世界販売実績は50万台を超え、前年同期比6%増と過去最高を更新するなど好調だ。

そんな中、レクサスESの事前受注も月間販売目標350台の6倍を超える2200台で好調な出足という。新規顧客はそのうち3割を占めるといい、拡販に一役買っているといえる。

ただミラーレス車については発売後、販売店において顧客に実車で確かめてもらいながらの受注になるため、未知数だ。世界初のミラーレス車への挑戦と、FFの高級セダンという2つの使命を帯びたレクサスES。はたしてどう評価されるか。

冨岡 耕 東洋経済 記者

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とみおか こう / Ko Tomioka

重電・電機業界担当。早稲田大学理工学部卒。全国紙の新聞記者を経て東洋経済新報社入社。『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部などにも所属し、現在は編集局報道部。直近はトヨタを中心に自動車業界を担当していた。

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