16歳農業アイドルを自殺に追い込んだ「暴言」 LINEメッセージにも残るパワハラの証拠

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遺された携帯には、2017年8月30日に脱退したい旨を社長に伝えたあと、スタッフから《次また寝ぼけた事言いだしたらマジでブン殴る》と。同年10月4日には学校へ行くため休日が欲しいと言うと、《お前の感想はいらん》 《学校の判断と親御さんの判断の結果をそれぞれ教えろ》という高圧的なLINEのやりとりがあった。

「昨年1月には萌景が佐々木社長と電話で話しているとき泣いている娘に対し“おまえ誰にものを言いよるんかわかっとるんか! おおおお!!”と大声で言われている声を聞いてしまったんです」

一見、華やかそうに見えるアイドル活動だが、ウラでは大人からのパワハラが日常的に行われていたのだろう。10月11日に行われた会見では、“奴隷契約”とも思える内容が一部明らかにされた。

情報漏洩は50万~100万円の罰金

例えば罰金制度があり、遅刻・忘れ物は1回5000円。陰口は1回1万~5万円。スキャンダルは50万円以上で、情報漏洩(口外禁止条項)には50万~100万円と記載されている。活動の報酬が月平均3万5000円ほどの少女たちにとって、それがどれほど精神的プレッシャーになっていたか、容易に想像がつく。

農業発信ガールズユニットとして結成された『愛の葉Girls』(写真:週刊女性PRIME)

「今年1月から萌景はスタッフからの推薦でリーダーになりました。グッズなどの売り上げがよかったのが娘だったのです。ですが2月ごろから“リーダーになるんじゃなかった”と頻繁に泣きながら話すようになりました。精神的に追い詰められ、不信感が募っていた萌景は“本気で辞める”と決意していたので、私は契約満了になる2019年8月31日をもって契約更新しない旨を3月17日に伝えたのです」

すると、事務所は萌景さんと結んでいたはずの約束を反故にする。

「2月に約束どおり全日制高校へ転学するための入学金3万円と制服・カバン代6万6000円は、事務所から借りることができました。

新入生招集日である3月21日までにあと12万円が必要なので、萌景と私で20日に事務所へ借りにいったのですが拒否されたのです。娘は“契約満了まで頑張ります。そのあとは働いてお金を返します”と話しましたが、無視されました。萌景はよほどショックだったのか、しばらく立ち上がることができませんでした」

祖父が運転する車で幸栄さんと帰宅した萌景さんは、終始無言だったという。その夜は友人宅に宿泊。そして、翌21日の午後1時40分ごろ、自宅で変わり果てた娘の姿を目撃することになる。

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