米選挙、民主党が勝ったら株価は暴落するか 2018年の中間選挙情勢は1998年に似ている

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市場関係者の間では「中間選挙でどちらが勝っても、長期金利は上昇する」との見方が強まっている。「共和党が勝てば追加減税等で財政赤字は拡大。民主党が勝てば社会主義的政策で赤字は拡大」との見方である。

これは先月末、CBO(アメリカ議会予算局)が2018会計年度(2017年10月-2018年9月)の財政赤字幅が約7820億ドルに拡大するとの報告を受けてのものだ。この90兆円弱にものぼる赤字幅はGDPの約3.9%になる。今、債券市場でイタリアの財政赤字がEU(欧州連合)の基準のGDPの3%を超える・超えないで騒いでいる。今やECB(欧州中央銀行)内では「頭痛」となっているイタリアと比較しても、アメリカファーストの実態が判るというものだ。

選挙後も「プロレス的演出」ができるのか

トランプ政権は、第2四半期の名目GDPの成長率が5%を超えたことを自慢した。しかし通期での増収額は僅か0.4%にすぎない。支出が拡大する一方で税収が少なかった最大要因は法人税だ。法人税が31%も減収になればこの結果は当然だ。だが法人税減税こそが株価上昇を支えた強気の企業決算の源泉だった。

その資産効果からの堅調な消費がトランプ政権の原動力だ。ならば、株が下がった原因を長期金利の上昇に求め、その長期金利上昇の原因を財政赤字拡大に求めるのは、その「黄金のシナリオ」を頓挫させるに等しい。だからこそ、トランプ大統領が「株が下がったのはFEDが悪い」と発言したのは政治的には正しい。

民主党系の関係者はこの発言を嘲笑したが、トランプ大統領は馬鹿ではない。彼は自分をサポートする選挙民の理解力に合わせて発言をしているだけだ。

もしFEDが大統領に反発し、独立性を維持するため、あえて利上げ継続の強気スタンスを示せば、恐らく長短金利差は再び縮小のリズムへ戻る。短期金利上昇の痛みは我慢させ、一方で長期金利低下を促すことで、厄介なリスクパリティーの投資家が暴れだすのを防ぐことになるのだが、どうなるか。結局、今後の金融市場の方向性は、トランプ大統領が弱気にならず、アメリカが抱える本質を隠しながら、中間選挙後も「プロレス的演出」を維持できるかにかかっている。

滝澤 伯文 CME・CBOTストラテジスト

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たきざわ おさふみ / Osahumi Takizawa

アメリカ・シカゴ在住。1988年日興證券入社後、1993年日興インターナショナルシカゴ、1997年日興インターナショナルNY本社勤務。その後、1999年米国CITIグループNY本社へ転籍。傘下のソロモンスミスバーニーシカゴに転勤。CBOTの会員に復帰。2002年CITI退社後、オコーナー社、FORTIS(現在のABNアムロ)、HFT最大手Knight証券を経て現在はWEDBUSH傘下で、米国の金融市場、ならびに米国の政治動向を日系大手金融機関と大手ヘッジファンドに提供。市場商品での専門は、米国債先物・オプション 米株先物 VIXなど、シカゴの先物市場商品全般。

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