デル時代の経験とシステマチックなノウハウを生かす--浜田宏・HOYA COO

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 私が在籍していたデルは、非常にシステマチックに運営している会社でした。リヴァンプ時代にいろいろな企業との付き合いがありましたが、それらと比べても、やっぱりずば抜けてシステマチックにやっていたと思いますよ。そこで自分が得た経験と知識を、HOYAで生かしていきたい。

もう一つは、やはり素材メーカーであったため、今までマーケティングやブランディングとかが不必要だったのですね。でも、ペンタックスを合併して最終製品を抱えたことで、これが必要になった。

僕のキャリアの中でいちばん長いのはセールス、マーケティング、ブランディングです。ですから、これはまさにドンピシャで、ペンタックスの今のビジネス、また、今後HOYAが伸ばそうとしているコンシューマー系の眼鏡やコンタクトレンズなどに、応用していけるスキルだと思っています。

長期的には、次世代リーダーの育成とか、企業のグローバル化もミッションとして考えていかなければなりません。

--20ぐらいの事業に分かれているという話ですが、浜田さんのミッションとして、まずどの事業から手をつけていきますか。

カメラをはじめ、今うまくいっていない事業部があるので、この立て直しが最優先です。一方、眼鏡、コンタクトレンズ、眼内レンズ、それと内視鏡、こうしたアイケア系は今後絶対成長させていきます。そのために、外から人を投入して強化していかねばなりません。

--ペンタックスの買収に関しては、内視鏡事業を育てるというのがいちばんの狙いにあったと思います。一方、浜田さんがいま最も力を注いでいるデジカメは一緒にくっついてきたといったイメージでとらえてきたのですが……。

そんなことはありません。デジカメも、たとえばレンズを磨く技術はすばらしいものがある。それから光学設計も。これはくっついてきたというより、戦略的な考えからですよ。

今のデジカメ業界の状況というのは、平和だったカメラ村に外から重装備の家電メーカーの侍が乗り込んできた、そんな状況なんですよ。

これは言ってみれば、デル在籍時に私が自分でやってきたことです。日系メーカーなど3社で比較的安定していた、この3社で日本の99%のシェアのパソコン業界に乗り込んで、徹底的な価格戦略で業界の構図を大きく変えてしまった。今、カメラ業界がそれをされている最中なわけです。しかしカメラの場合、パソコンよりも趣味性が強いので、マミヤだとか、ライカだとか、比較的小さいところでも頑張っているのです。パソコンの世界とはそういう意味では違う。

ただ、デジタル化に伴って、開発のスピードが速まり、価格競争も激化していますから、いかに早く新製品を市場投入して売り切れるか、という勝負になっていきます。

--2000年代の業績を牽引してきた、半導体用のマスクブランクスやHDD(ハードディスクドライブ)用のガラス基板について、今後は大きな成長が見込めませんか。

成長の拡大スピードは明らかに遅くなって、成熟産業になったと見ています。特にハードディスクというのは明らかに今後フラッシュメモリ、SSDに移行していくスピードは加速していくだろうと思います。3~5年後には、半分以上がフラッシュメモリになるかもしれない。

今後ガラス基板は、キャッシュを稼ぐ安定事業として大切にし、眼鏡、コンタクト、内視鏡、そういった事業を伸ばしていきます。

(鈴木雅幸、桑原幸作 撮影:梅谷秀司 =週刊東洋経済)

はまだ・ひろし
1959年生まれ。82年早稲田大学卒業。山下新日本汽船(現商船三井)、米コンサルティング会社などを経て、95年デル・コンピュータ日本法人入社。2000年同社社長。06年リヴァンプ代表パートナー。今年4月より現職。

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