日経平均915円安、さらなる下落はあるのか ヘッジファンドの破たんなどにも注意が必要
日本株の支えとなっていた企業業績に対しても、暗雲が漂い始めつつある。東証1部上場銘柄の9割以上が値下がりする全面安商状となる中、安川電機<6506.T>は一時7%安。年初来安値を更新した。
同社は前日に19年2月期の業績予想の下方修正を発表。想定為替レートを1ドル105円から110円と円安方向に見直したにもかかわらず、中国のスマートフォン関連需要の一服や半導体関連の設備投資の弱含みを受け、業績予想の引き下げを迫られた。
9月日銀短観での大企業・製造業の2018年度の想定為替レートは107.40円。足元のドル/円<JPY=>は112円台と、実勢レートは円安水準にある。だが、安川電機の決算発表を受け、円安による業績押し上げ効果に対する過度の楽観ムードは後退しつつある。
アナリストらによる業績予想も、慎重な見方が継続したままだ。データ・ストリームによると、企業業績に対するアナリスト予想の変化を示す「リビジョン・インデックス」は、TOPIXでマイナス1.06%(10月10日時点)。2月以降はゼロ%を挟んだ動きが続いていた。
米S&P500<.SPX>はマイナス0.85%。今年7月以降はプラス圏で推移し、上昇する局面があったが、10月に入り再びマイナス圏に転じた。
同インデックスは、アナリストらによる業績予想の上方修正数から下方修正数を引いたものを、全予想数で割って算出。下方修正数が上方修正数を上回ればマイナスになる。現状では日米ともに市場側は、業績の先行きに対しなお慎重な見方であることを裏付ける。
プット買い膨らむ
ミョウジョウ・アセット・マネジメントCEOの菊池真氏は「半導体業界と中国市場の減速は当然、安川電機にだけ影響がある話ではない。昨年大きく増加した受注が下向きのトレンドとなったところに、米中貿易戦争が追い打ちを掛けている」と指摘。「時価総額でみると、景気敏感株が全体に占める割合は米国よりも日本は高く、米国株と比べ見劣りする形となりやすい」と話す。
オプション市場では、きょうが10月限のSQ(特別清算指数)算出前の最終売買日。期先の11月限は権利行使価格帯2万1000円のプット(売る権利)の出来高が膨らんだ。「米VIX指数<.VIX>の20超えは『危険水域』。日経平均も7月安値までの調整はあり得るとの見方から、プット買いが膨らんだ」(国内証券トレーダー)という。
外為市場では、近く米財務省が発表する見込みの為替報告書に対する関心が強まっている。日米間では物品貿易協定(TAG)の協議入りが決まったが、なお米国が為替を通じ日本に圧力を掛けるシナリオへの警戒感は解けていない。円高が進み業績懸念が強まれば、当然ながら日本株を取り巻く環境も厳しさを増していく。
(長田善行 編集:田巻一彦)
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