「営業主体」のIT企業が潰されかねない理由 ユーザー完結型企業の圧倒的強みとは

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当然のことですが、セルフサービスファーストではなく、営業を柱に成功している企業もあります。私の友人の企業のように、今は上手くいっているかもしれません。しかし、企業としての成長余地、顧客獲得数、海外進出のスピードはつねに営業部隊の数に左右されることになります。加えて大変なのは、セルフサービスファースト企業の脅威に常時さらされることです。

利用者が、サービスに登録し、使いこなせるようになるまでがセルフサービスとなったのは、インターネットの普及のおかげです。それゆえ、先述したハイテク企業は1980年代前後に創業し(オラクルとマイクロソフトが典型的な例です)、セルフサービスファーストへの移行という課題に向き合ってきました。

オラクルがつねにさらされる危機

上手く移行できた企業もあれば、そうでない企業もあります。ポストウィンドウズの中、マイクロソフトは移行できそうです。一方、オラクルはいまだに営業部隊が法人向けのソフトウェアを販売しています。オラクルは素晴らしい企業ですが、誰でも利用できるクラウドデータベースに顧客を奪われるリスクにこの先ずっと晒されることでしょう。

セルフサービスのクラウドデータベースを提供している、エアテーブルがいい例です。最初はゆっくりと忍び寄りつつも、大口顧客の獲得に移行すると同時にその牙を剥き、オラクルのコア事業から顧客をかっさらう可能性があります。

さて、この話題のきっかけになった友人ですが、コーヒーを飲み終わる頃には決心を固めていました。優秀なエンジニアを4人集めてチームを結成して、自社のテクノロジーをもう一度デザインし直して、年末には既存の製品のセルフサービス版を完成させる、と。

「最初からやるわけじゃないから、妥協しなきゃいけないところもあるかもしれないけど、まずは始めてみて、そこからゴールを目指すよ」

彼はセルフサービスセカンド、かもしれません。でも、ただのいい企業で満足せず、心から満足できる顧客体験を提供し、顧客獲得の余地がいくらでもあり、競合に負けることなく、時代を経ても愛されるような、最良の企業を目指すその姿勢は称賛に値するものです。

もし、あなたがハイテク企業として成功を目指しているなら、法人向けだとしても、セルフサービスについてよく考えるべきです。

自社がセルフサービスファーストかどうか、自分自身に尋ねてみてください。

ゴークル・ラジャラム スクエア フードデリバリーサービス担当責任者

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Gokul Rajaram

アメリカの決済サービス大手スクエアが提供する成長中のフードデリバリーサービス、キャビアの責任者。グーグルアドセンスのプロダクト・マネジメント・ディレクター、フェイスブックの広告プロダクトのディレクターを経て、現在に至る。アメリカ西海岸ではアドセンスのゴッドファーザーとして知られ、アドセンスの着想からサービスローンチ、ドル箱プロダクトに至るまで、成長の軌跡の初期フェーズで重要な役割を果たした。

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