共和党大慌て!中間選挙で「大負け」の可能性 「青い波」が勢いを増している

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今回の選挙における共和党のテレビ広告は、文化戦争の香りにあふれている。かつてラッパーだった民主党の黒人候補に対しては、ならず者を感じさせる当時の映像が広告に使われ、その歌詞の過激さがあげつらわれている。また、民主党のある女性候補に対しては、「フェミニストである」と自称している映像が批判的に使われた。

共和党が着目するもう1つの危機感は、トランプ大統領の弾劾である。トランプ大統領の立場が危ういとなれば、熱狂的な支持者にも投票に向かう動機が生まれるからだ。

文化戦争の「代償」

選挙戦で弾劾に言及したいのは、民主党の候補者というよりも、共和党の候補者かもしれない。民主党とすれば、弾劾が論点になればなるほど、トランプ大統領の熱狂的な支持者の眠りを覚ましかねないのみならず、自らの支持者の期待を裏切るリスクが高まる。たとえ民主党が議会の多数党を獲得しても、大統領を辞めさせるために必要な上院議席の3分の2には届かない。むやみに弾劾への期待を高めてしまうと、選挙後に幻滅した民主党の支持者の反発を受けかねない。

選挙戦は、分岐点に差し掛かっている。これまでの賭け市場の動きにもわかるとおり、多くの場合、選挙戦にはサイクルがある。いつまでも一方向に風が吹き続けるというよりは、どこかで風向きは変わるのが普通である。共和党にとっては、今が最悪の時期なのかもしれない。

その一方で、地滑り的な展開となる選挙もある。このまま「青い波」の高さが増し、共和党の防波堤を軽々と越えていく結果もありえよう。投開票日までの時間を考えると、共和党が巻き返すためには、そろそろ潮目が変わる必要がありそうだ。

懸念すべきなのは、より一層の党派対立の深刻化である。共和党が文化戦争に踏み込んだ以上、党派間のわだかまりは強く残る。選挙戦が終わったからといって、ノーサイドの笛は聞かれそうにない。トランプ政権の後半2年間は、これまで以上に対立色が濃くなりそうだ。中間選挙の終了は、新たな戦いの始まりにすぎない。

安井 明彦 みずほリサーチ&テクノロジーズ 調査部長

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やすい あきひこ / Akihiko Yasui

1991年富士総合研究所(現みずほ総合研究所)入社、在米日本大使館専門調査員、みずほ総合研究所ニューヨーク事務所長、同政策調査部長等を経て、現職。政策・政治を中心に、一貫してアメリカを担当。著書に『アメリカ 選択肢なき選択』(日本経済新聞出版社)などがある。

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