共和党大慌て!中間選挙で「大負け」の可能性 「青い波」が勢いを増している

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共和党は、こうしたトランプ大統領の言動に危機感を募らせる。熱狂的な支持者が危機感を覚えなければ、投票に足を運んでくれない可能性があるからだ。実際に、パブリック・オピニオン・リサーチ社が実施した世論調査によれば、回答者の約7割が「多数党交代の可能性がある」と答えているのに対し、トランプ大統領の熱烈な支持者を自認する回答者に限ると、6割近くが多数党交代の可能性を否定している。

振り返れば、多くのメディアは2016年の大統領選挙でトランプ大統領の敗北を予測していた。トランプ大統領の熱烈な支持者にとっては、信じるに値しない存在なのだろう。

なかには、「いずれにしてもトランプ大統領の熱烈な支持者は、議会共和党の救世主にはなりえない」という冷めた見方もある。トランプ大統領は、既成の政治に反旗を翻して旋風を巻き起こした政治家である。それまでの共和党のあり方に不満をもっていたのが「熱烈な支持者」であり、議会共和党を窮地から救う動機は弱い。むしろ、たとえ共和党が負けたとしても、「今まで以上に混乱が深まれば、かえってトランプ大統領の活躍の場が広がる」と考える可能性がある。

「麻薬が増え、犯罪が増える」

劣勢の共和党は、民主党が勝利した場合への危機感をあおり、活路を見いだそうとしている。そこで共和党が強調するのが、移民問題である。

共和党の候補者たちは、民主党が議会の多数党になれば、「不法移民の増加が許され、アメリカの治安が悪化する」と警告する。マイノリティへの警戒感をもつ白人の有権者を意識して、民主党の勝利に対する恐怖を植え付ける戦略だ。実際に、共和党の候補者が流すテレビ広告では、「麻薬が増え、犯罪が増える」などの言葉が躍り、ことさらに陰鬱な将来が描き出されている。

アメリカでは、こうした社会問題での価値観の違いに着目した選挙の戦い方を、「文化戦争(culture war)」と呼ぶ。これまでの選挙でも、移民や人種にとどまらず、同性婚や女性の権利、認知中絶の問題など、多様性を重視する民主党と、伝統的な価値観にこだわる共和党の考え方の違いが、支持者の危機感を高める狙いで利用されてきた。

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