粗利悪化に苦しむゼネコン 受注増でコスト高のジレンマ
[東京 12日 ロイター] -人件費と資材価格の上昇が、ゼネコンの収益を圧迫している。12日に決算を発表した大手4社中、3社が通期の粗利予想を下方修正した。消費税前の駆け込み需要が受注を増大させると同時に、建設コストも引き上げるというジレンマに各社は直面している。
「計画段階でインフレを織り込んでいたつもりだったが、上がり幅はそれ以上。鉄筋(の価格)や技能工(の人件費)がかなり上昇している」──大成建設<1801.T>の桜井滋之常務はこう語る。
大成建設が当初見込んでいた通期の売上高総利益率(連結)は9.0%。今回、それを8.2%に引き下げた。東北の復興需要でもともと人手が足りなかったところへ、消費増税前の駆け込み受注が業界全体で増加。職人や資材への需要が一段と高まり、これから着工する案件や進行中の工事のコスト上昇を織り込まざるをえなくなった。「7月以降、急速に上がった」と、桜井常務は話す。
3社のなかで、粗利の引き下げ幅が最も大きかったのは鹿島<1812.T>。受注残高の見通しは1兆2000億円から1兆4300億円に見直したものの、総利益率は8.0%から6.8%に下方修正した。一部案件で「想定外の工事費が発生」(高野博信専務)したことに加え、過去に受注した低採算の工事が上期中に完了するとみていたが、職人の労務費や資材費の上昇で下期にも影響が残るという。大林組も6.9%から6.5%に引き下げた。
清水建設<1803.T>は粗利の見通しを据え置いたが、それでも職人の労務費は2─5割上昇しているという。「労務需給がさらにひっ迫、資材の上昇も懸念され、手持ち工事の採算は予断を許さない」と、同社の黒沢成吉副社長は話す。
(久保信博 編集:宮崎大)
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