個人投資家は「忍び寄る危機」に備えるべきだ このままだと2019年に「金融危機」が来る?
もちろん、新興国も震源地になる可能性がある。1990年代のアジア通貨危機ほどではないが、やはり経常赤字国は要注意だ。8月10日のトルコリラショックは「新興国危機」の引き金となるほどではなかったが、アルゼンチンペソを筆頭に、その他の新興国通貨(南アフリカランドやブラジルレアル)は下落基調を脱し切れておらず、ドル金利の上昇が続けば、経常赤字国は一段と苦境に陥る。
実は日本においても火種がないとは言えない。先進国の中では最後まで金融緩和政策からの「出口戦略」を明確に取れていない。債券市場でも株式市場でも日本銀行が異常なプレゼンスを発揮した状態が続く一方、不動産市場でも世界的な金余りを背景に海外投資家の資金が流れ、公示地価が平成バブル崩壊後では初めて3年連続上昇となった。やはり何かをキッカケにして、日本国内でも価格下落が起きてもおかしくない。
恐ろしいのは、もし危機が来るなら、リーマンショックと同じようにやはり同時多発的になる可能性があることだ。一時期、「デカップリング」という言葉がはやったことがあったが、これだけグローバル化が進むと世界同時不況化は避けられない。
利益を確定、危機に備えたポートフォリオ構築も
最近は個人投資家もインターネット上でさまざまな情報を得ることができるため、手数料の安い(ノーロード、低信託報酬)投資信託や、海外ETFを対象に積立投資をすることが最もパフォーマンスをよくするなどの投資方法が浸透している。だが、金融危機時には分散投資も効果が出にくい。金融危機が起これば、すべてのアセットクラスが程度の差はあれ、すべて下落する。また、積立投資も長期にわたる下落相場が始まれば効果を持たない。
そこで考えるべきは、キャッシュポジションの調整である。ここ数年の上昇相場である程度の評価益が出ているのであれば、一度利益を確定し、その後、改めて危機に備えたポートフォリオをあらかじめ構築すべきではないか。相場の下落時にはキャッシュポジションを多くしておくことは、相場の反転期に投資余力を持つことにもなるし、下落時に影響を受けにくい。
著名な経済学者ジョン・ケネス・ガルブレイス(1908-2006)が語ったように、いつバブルが崩壊するかは誰にもわからない。筆者も金融危機がいつ来るかなどとはとても明言できない。しかし、つねにその可能性を頭に入れて資産運用をすべきだ。
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