さらに搭載エンジンの排気量が2リッターから2.4リッターへと拡大がなされ、発電効率と走行時の効率の両方が向上。より低回転域で効率の良い発電ができるようになっただけでなく、吸排気系の見直しによってエンジンから発生する騒音を大幅に低減した。よりプレミアムSUVとしての資質をアップさせている。
また、改良前の「S Edition」に施されていた開口部やボディパネル接合部に構造用接着剤を塗布して車体剛性を向上する手法を標準車にも採用(S Editionは塗布範囲を拡大)。リアのショックアブソーバーをサイズアップし、前後に新型バルブを採用することで上質な乗り心地と高い操縦安定性を両立させた。
試乗当日は改良前モデルも用意され、乗り比べをすることができたのだが、旧型に乗った後に新型に乗るとその差は歴然。出力アップによる走りの力強さはもちろんだが、ボディ剛性向上によりサスペンションがしっかり仕事をするようになり、改良されたサスペンションと相まって、しなやかで上質な乗り心地をキープしながらコーナーも楽しいクルマに仕上がっていたのが印象的だった。ビルシュタインサスペンションを採用したS Editionはもちろんだが、標準サスペンションでも充分スポーティな走りを楽しむことができるだろう。
そして今回、車両運動統合制御システムの「S-AWC」に新たに「SPORT」と「SNOW」という2種類の走行モードが追加された。路面的にSNOWモードは体感するに至らなかったが、SPORTモードに入れると走りが一変。元々俊敏なレスポンスを持つ同車だが、その部分がより顕著になり、4輪の制御も旋回性を向上させる方向になるため、グイグイ曲がるオンザレール感が高まりまるで運転がうまくなったかと錯覚するほどだった。もちろん、2トン弱の車重があるためタイヤの限界を超えてしまっては当然制御できないが……。
走りだけでなく有事には電源車に
大幅に変更がなされたパワートレイン系に比べ、内外装の変更はそれほど大きくない。しかし、後席用空調吹き出し口や後席用USBアダプターの追加や、前席USBアダプターの移設、メーターの変更など、かゆい所に手が届く細やかな改良がなされている。
嬉しいのが、誤発進抑制機能とパーキングセンサーが標準装備となり、充電中も空調機能が使えるようになった点だ。
従来型は充電中に空調が使えなかったため、暑い時期や寒い時期は車内で充電待ちをするのが辛かったが、これなら車内で快適に待つことができる。車内で待つことができれば、EV充電設備の付いたパーキングエリアでの充電中に、純EV車がやってきたときに速やかに移動することができ、「ガソリンでも走れるPHVなのに充電器占領しやがって」というようなネガな印象を与えてしまうリスクも回避できるだろう。
さらに従来型ではオプション設定だった1500WのAC電源が全車標準装備となったのも朗報だろう。1500Wと高い最大出力を持っているため消費電力が大きな電化製品でも使うことができるので、有事の際には電源車にすることもできる。エンジンを始動して発電することも可能で、ガソリン満タンであれば一般家庭10日分の電力を供給することもできるのは心強い。
車両本体価格は393万9840円~509万0040円と手頃とは言えないかもしれないが、輸入プレミアムSUVにも勝るとも劣らない静粛性とスポーツカー顔負けの動力性能、そしていざというときは電源車にもなる点も鑑みれば、決して高い買い物ではないだろう。
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