関空の玄関口「なんば」南海電鉄が抱く危機感

訪日客に人気だが「なにわ筋線」で素通り懸念

なにわ筋線が開業すると、現・難波駅のターミナルビル「南海ビルディング」に入店している高島屋大阪店の来店客数にも影響が及びそうだ。

大手私鉄の多くは自社線利用者の利便性向上、利用促進、および買い物客からの収益取り込みを狙って、都心のターミナル駅や沿線主要駅の駅ビルに自社系列の百貨店「ターミナルデパート」を併設している。

一方、南海電鉄は自社グループの百貨店ではなく、高島屋大阪店を現・難波駅の駅ビルに入店させ、テナント料を得るビジネスモデルを採用した。南海電鉄にとって、高島屋からのテナント料収入を確保し続けるためには、現・難波駅の集客力維持・向上が不可欠だ。

「ターミナルデパート」の中でも、とりわけ都心側の「終端駅」に設けられた店舗は、その旺盛な乗降人員を基盤として高い集客力を維持してきた。仮に直通線開業などによって中間駅となった場合、素通りが増えて集客力が弱まる可能性がある。

南海と相鉄の類似性

南海電鉄と同様に、ターミナル駅の駅ビルに高島屋を入店させている大手私鉄として相模鉄道(相鉄)があるが、両社の共通点はターミナルデパートだけでない。相鉄も東京方面への直通線「神奈川東部方面線」開業を控えており、なにわ筋線開業後に梅田エリアとつながる南海電鉄と、置かれた環境が類似していると言える。

相模鉄道が相鉄・東急直通線用に新造した新型車両20000系(撮影:尾形文繁)

神奈川東部方面線では2つのルートができる。まず2019年度下期にJR東海道本線(貨物線)との連絡線が、次に2022年度下期に東京急行電鉄(東急)との連絡線がそれぞれ開通し、途中駅の西谷駅を介して、海老名駅・湘南台駅と東京方面を結ぶ直通列車の運行が開始される。

神奈川東部方面線の開業後は、JR線・東急線・京急線などと接続する相鉄の現ターミナル駅である横浜駅などを経由して東京方面へ通勤・通学している、現在の沿線住民の多くが直通線へシフトすることが予想されるため、横浜駅の乗降人員および同駅併設の高島屋横浜店の来店客数に影響が発生する可能性がある点でも、南海電鉄と類似している。

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