関空の玄関口「なんば」南海電鉄が抱く危機感

訪日客に人気だが「なにわ筋線」で素通り懸念

南海電鉄の空港特急「ラピート」(写真:tesshy / PIXTA)

訪日客に対するPRについて、遠北社長は「当社としては『Peach・なんばきっぷ』などの航空とタイアップした企画乗車券が難波をPRする効果を生んでいると考え、販売促進に力を入れている」と話す。そのうえで、「JRを選ぶ訪日客は『ジャパンレールパス』で日本各地を長い滞在日数をかけて周遊するパターンが多いのに対して、当社線を利用する訪日客の滞在日数は総じて短い。当社線の利用と難波駅周辺での長期間滞在の促進に腐心している」と説明する。

力を入れるのは観光面だけにとどまらない。遠北社長は「難波はレジャーには強いが、ビジネス機能は希薄だった。逆に言えば、ポテンシャルがあると言うことだ」と言う。「10月17日に開業する難波駅直結の複合ビル『なんばスカイオ』の13~30階をオフィスフロアとする。アメリカシェアオフィス大手のウィーワークが関西初の拠点を設けるなど、現時点での入居率は8割弱と想定を大きく上回っている」(遠北社長)。

「なにわ筋線」で難波はどう変わる

なにわ筋線と周辺の路線概略図(編集部作成)

一方、前ページでも少し触れたが、なにわ筋線の動向が難波駅周辺の集客に影響を与えそうだ。大阪市ホームページによると、なにわ筋線は2023年度開業予定の北梅田駅(仮称)とJR関西本線JR難波駅および南海本線新今宮駅を結ぶことで、東海道・山陽新幹線新大阪駅と関空の間のアクセス向上が期待される路線になるという。

遠北社長は「当社にとって梅田進出は長年の悲願」と認め、「なにわ筋線構想が具体化に向けて動き出したことで、不動産事業などでも梅田進出への可能性が出てきた」と話す。日本経済新聞は8月16日、南海電鉄が2031年のなにわ筋線の開通に向けて新たな特急車両を開発する検討に入ったと報じた。有料の着席型を想定し、投資額は70億円を超える見通しだと言う。

しかし、遠北社長はなにわ筋線開業に伴う課題を次のように指摘する。「なにわ筋線は、現・難波駅を通らない。当社は現・難波駅周辺の価値向上に向けた取り組みを進めているが、同線開業によって現・難波駅の集客に影響が出るかもしれない」

なにわ筋線ではJR難波駅近くに南海新難波駅(仮称)が開設される計画だが、現・難波駅からは少し離れた場所となる。また、関空と梅田エリアが直結されると、難波エリアの「素通り」が増える可能性もある。そうなれば、現・難波駅の乗降人員および同駅併設の既存商業施設・10月17日開業の「なんばスカイオ」にも一定の影響が及ぶ可能性がある。

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