日本の銀行はチマチマ手数料を取り過ぎる このままだと「オワ銀」になってしまう
日本の銀行に慣れていると、海外の銀行は不親切だと思われるかもしれません。しかし、日本の銀行のように窓口で投信や保険を勧められることも少なく、何より、手数料以上のメリットを享受できるのです。たとえば、特に地元シンガポールに本店を置く銀行は各社とも顧客獲得競争を勝ち抜くために、切磋琢磨しています。そのため、給与振込口座に指定したり、取引額や頻度の多い優良顧客に対して、2~3%の金利を優遇することもあります(金融機関や諸要件によります。ゼロ金利の日本では難しいかもしれませんが)。
たまにカードローンの案内が送られてくることもありますが、日本のように街中でたくさん広告を見ることもありません。こうして、口座維持手数料を取ることで、銀行側は口座維持にかかる無駄な費用が削減でき、コストカットにつながります。その結果の1つとして、顧客に金利や手数料の優遇をする余裕ができる部分もあります。
「現金」や「ATM」から離れて一刻も早く新しいサービスを
海外では、日本よりキャッシュレス化が進んでいる国がたくさんあります。シンガポールもその1つです。ほぼどこでも使えるクレジットカードだけでなく、「タップ式のデビットカード」「QRコード決済」「銀行による個人間送金」(銀行に電話番号やIDを登録すれば相手の電話番号だけで無料で送金可能)なども進んでいるので、現金を頻繁にATMから引き出す必要はありません。
わが家の場合は、日本円にして3万~4万円程度を、月2~3回程度引き出すだけです。ベビーシッターや習いごとなどにキャッシュで支払う以外は、ほとんど現金を使わないからです。
そもそも、ATMが日本のように便利ではありません。基本的に、オンラインバンキングや銀行アプリで振り込みなどを行うので、ATMはほぼ引き出し専用です。シンガポールのATMでは機械によっては入金などの複雑な操作ができないATMもあります。日本の通帳に当たるものもなく、オンラインバンキングで入出金明細をダウンロードして管理するのが当たり前です。
もちろん日本でも徐々に普及していますが、日本の金融機関のオンラインバンキングでは入出金の明細がわずか3カ月分しか出ない場合もあります。しかし通帳をなくしてもいいので、全期間の明細を出してくれるほうがありがたいのではないかと感じます。
日本の銀行は勢力拡大するためにATMをどんどん設置してきましたが、さすがに現在は縮小過程に入っています。しかしまだ街中にATMがあふれています。シンガポールではATM専用の店舗などほとんどありませんし、ATMはショッピングモールなどの片隅にちょこんと1台置かれている程度です。利用者も少なく長時間使う人もいないので、長蛇の列になることもありません。しかも基本的に24時間利用ができます。日本のクレジットカードを使ったり、海外で引き出すなどといったことをしないかぎり、手数料を取られることも基本的にはありません。
もちろん日本の銀行が海外の銀行に勝っている部分がゼロではないでしょう。しかしこれからは、フィンテック(金融とITの融合)の進化によって、取引も融資も銀行を介さずして成立する時代です。ですから、日本の銀行も海外の銀行のように、バッサリとコストカットしながら、一刻も早く預金者が一段と喜ぶサービスを提供する必要があります。そうしないと「終わったコンテンツ」のオワコンならぬ、「オワ銀」になってしまいます。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら