ウーバーは「悪者」イメージを払拭できるか 「空飛ぶタクシー」で描く未来の新戦略
日本のステークホルダーとの交渉で中心的役割を担うインターナショナルチーフビジネスオフィサーのブルックス・エントウィッスル氏は、月1回のペースで来日しており、現在は「タクシー会社や業界団体との対話を何よりも優先に進めている」と繰り返した。あるタクシー会社の幹部は、「ウーバーから、官僚出身の若い日本人社員が(サービスや提携について)話をしに来た。よく勉強している」と好印象を受けたという。
ビジネス上でも成果が出始めている。この夏、淡路島でのタクシー配車を発表。エントウィッスル氏は会見で、秋には大都市圏のタクシー会社と提携し、配車サービスを始めることにも触れたほか、現在30近くの企業と交渉をしていることを明かした。
移動手段をすべてまとめて提供したい
さらにウーバーは、乗り捨て可能な電動自転車シェアサービスを展開する米ジャンプ・バイクスを買収したほか、電動キックスケーターシェアの米ライム・バイクとの資本提携に動いた。コスロシャヒCEOは最近、英紙フィナンシャル・タイムズに対し、「今後は自動車の配車よりも電動スケーターや自転車のシェアリングに重点を置きたい」と発言している。
まだ具体的な計画も固まらない中での空飛ぶタクシー事業の発表や、これまでのライドシェア事業を否定するような発言は、迷走感もある。ただこうした動きは、ウーバーが目指している未来の姿が「マルチモーダルソリューション」(複数の交通手段を組み合わせた移動のソリューション)にあるからだと、ハーフォードCOOら幹部は異口同音に強調する。
たとえば、千葉県の自宅から東京のオフィスに出勤する場合、まずはウーバーのスカイポートまで自転車で向かい、そこから勤務先近辺のポートまで飛ぶ。その後は電車を使ったり、急いでいる場合はタクシーを配車したりする。ここでウーバーが目指すのは、1つのアプリの中で、電動自転車、空飛ぶタクシー、配車サービスのすべてを一括予約し、決済もできるということ。さらに乗るべき電車も検索できれば便利だ。いわば、決済機能のついたグーグルマップのようなシステムを構築することが、彼らが目指すところだといえる。
壮大な計画を実現するには、さまざまな規制をクリアできるかがカギになる。自らルールや枠組みを積極的に形作る取り組みも求められる。生まれ変わったウーバーは、新事業の名の通り“飛躍”することができるだろうか。
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