ウーバーは「悪者」イメージを払拭できるか 「空飛ぶタクシー」で描く未来の新戦略
ウーバーは米サンフランシスコ発祥のユニコーン企業で、配車アプリを軸としたビジネスを世界約70か国で展開。ソフトバンクなどが大型出資をするほか、8月28日にはすでに大株主となっているトヨタ自動車が5億ドルの追加出資と、自動運転領域での提携を発表した。
ウーバーを取り巻く空気が変わりつつある
しかしウーバーは、2012年の日本への参入以降、“悪者扱い”をされてきた。「ライドシェア」という耳慣れないビジネスに脅威を覚えたタクシー業界や規制当局が、ウーバーの排除に動いたのだ。2015年に福岡で実証実験を行った際には、九州運輸局が行政指導を行い中止となった。日本のタクシー業界では「ウーバー=ライドシェア=白タク=悪」というイメージがつき、ライドシェアの解禁どころか、この印象を払拭することすら難しいと思われた。
それが今年に入り、ウーバーのダラ・コスロシャヒCEOが安倍晋三首相やトヨタの豊田章男社長と面会するなど、日本でも政府や経済界との関係づくりに精を出し始めた。今回の事業説明会にも、小池百合子・東京都知事やドローンの普及推進などに取り組む国会議員が登壇するなど、ウーバーを取り巻く空気は変わりつつある。
きっかけは、CEOの交代だった。創業者のトラビス・カラニック前CEOは剛腕で知られ、世界各国のタクシー業者から反発を生み、法令順守を軽視するような姿勢も批判を集めた。社内でもさまざまな問題が起こり、昨年6月に辞任に追い込まれた。その約2カ月後、後任として旅行サイト大手の米エクスペディアから転身してきたのが、コスロシャヒ現CEOだ。
今年1月、COO(最高執行責任者)に就任したバーニー・ハーフォード氏は、「コスロシャヒCEOはパートナーシップを大切にするという方針。各国、各都市の規制の中での事業推進を非常に重視している。現在は新しいウーバーを見せることに注力している」と話す。渉外の基本戦略を変えたことで、企業イメージも変えていく狙いがあるのだ。
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