電車が遅れる原因「ドア引き込まれ」の実態 ケガ人が多いのは夏?鉄道会社の対策進む
東急では2016年から、ドア引き込まれトラブルの防止に向けた対策を本格的にスタート。車内での放送や映像、駅ポスターで注意を促す呼びかけなどを行うとともに、電車のドアにも新たな注意喚起のステッカーを導入した。ドアの戸袋寄りに張られた、最上部から床近くまで届く縦長のステッカーだ。
「私は、引き込まれました…」「ぼくも…」と嘆くバッグやキーホルダー、傘などのイラストがユーモラスなステッカーだが、目立つデザインで注意を促すだけでなく、素材にも秘密がある。滑りやすい素材を使うことで、戸袋へ荷物や体が引き込まれるのを防ぐ機能を持たせているのだ。
実際にステッカーを触ってみると、表面はさらさらした感触。社員がさまざまな種類のバッグを持ち寄り、引き込まれる状況をテストするなどして決めたという。
今年3月にデビューした田園都市線の新型車両2020系、大井町線の6020系はもう一歩進化し、ドアの壁面自体に滑りやすい素材を使っているため、このステッカーは張っていない。
実は線路の傾きも変えていた!
同社がドア引き込まれ対策に力を入れる大きな理由は、やはり遅延の原因となるためだ。いったんトラブルが起きてしまうと、その解消には「少なくとも2分はかかってしまう」。さらにやっかいなのは、バッグや衣類のボタンなどがドアに引き込まれて戸袋内で外れてしまった場合。何が開閉の支障になっているか原因がわからないためだ。
対策として、同社では利用者から見ると一見わからないような改良も行った。東急線全体で最もドア引き込まれトラブルが多い「鬼門」の駅は田園都市線・大井町線の溝の口駅(神奈川県川崎市)。乗り換え客の多さに加え、ホームがカーブしている。そのため、電車が傾いた状態で停車すると乗客がドアにもたれかかりやすい。そこで少しでも車両の傾斜を少なくするべく、今年4月に線路の傾きが緩くなるよう補正したという。
これらの取り組みにより、2015年度に311件発生していたドア引き込まれトラブルは、2017年度には100件まで減った。
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