たった一つの会議が歴史を動かした! 三谷幸喜監督が語る歴史の本当の面白さ

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――歴史の人物に絡めて考えることが好きなビジネスマンは多いと思います。三谷さんが思う歴史を学ぶことの意義はなんですか?

先ほど小学生向けの雑誌の取材があったのですが、同じことをビジネスマンに向かって言うのですか(笑)。

――ぜひお願いします。

おそらく今、自分が悩んでいることは、自分が初めてそれについて悩んでいるわけではない。同じようなことで悩んできた人は、今までの歴史の中でも山ほどいたはずです。そういったことの答えが歴史の中にはあるような気がしています。歴史を知るということは、自分の未来を知ることだと思います。

清須会議の登場人物は僕らの先祖

――過去を見て未来を見ると。

自分が今、悩んでいることは、絶対どこかで先人が解決してきたことだと思う。それはもしかしたら反面教師なのかもしれない。それに対して解決しようとして頑張ってダメだった人もいれば、切り抜けられた人もいる。その先人の知恵を知ることは、歴史のいちばん大きな意義のような気がします。

それから僕が思うのは、歴史がすべてつながっているということ。今回作った『清須会議』でも心掛けましたが、何かが始まってそこで終わるのではなく、まだまだ続くのです。すべてが終わったわけではない。これで清須会議は終わりましたが、時代はどんどん続いていく。そういうイメージがある。それは、原因と結果ということ。そのふたつの言葉を合わせると“因果”になるのですが、何かがあるということは、それは必ず次の時代に影響を与えているんですよ。

極端な話をすると、信長が死んだ後に秀吉が天下を取って。秀吉が死んだ後に関ヶ原の戦いがあって、そこで東軍西軍に分かれた影響がずっと江戸時代にも続く。話は飛びますが、毛利や島津は、徳川に対して怒りを持ち続けて、それが幕末になって薩長同盟になった。すると今度は明治になって、薩長が政府をつくってそれが派閥になる。それがずっと続いて自民党まで続いていった。結局は全部続いているのです。これが僕にとっての歴史の醍醐味。だから、『清須会議』に登場する人たちは、遠い昔のある瞬間にいた人たちなのではなく、僕らの先祖だという感じがすごくありますね。

(c)2013 フジテレビ 東宝
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