コミックスの「累計部数」は時代遅れの指標だ

マンガアプリがマンガの売り方を激変させた

なぜ「コミックス累計○万部突破」という指標の意味がなくなりつつある、と私は言っているのか。

電子書籍ユーザーならよく知っていると思うが、どの電子書店でも頻繁に期間限定でセールを行っている。セール中はコミックスが1冊99円で買えたり、場合によっては1巻無料や3巻無料キャンペーンをすることもある。

果たして99円とか無料で販売した電子コミックスも、1冊数百円の紙のコミックスも同じ「1部」と換算していいのだろうか?

では紙の部数だけ言えばいいのか? いやいや、この「電子の売り上げが紙を上回っている」時代に「紙の部数」だけ宣伝文句に使うことに何の意味があるのだろう?

先ほど、多くのマンガアプリはユーザーに無料レンタルチケットを配っている、と言った。このチケットは読者が「もっと読みたい」と思えば1枚数十円で課金して手に入れたり(コミックスでの販売を「巻売り」と言い、こうした1話ごとの課金を「話売り」と呼ぶのが業界では一般的だ)、あるいはユーザーが数十秒の動画広告を観ることでチケットを手に入れられることがほとんどだ。

コミックス売り上げ至上主義は終わる

こうしたチケットを消費して閲覧されたマンガはどれほど人気であっても「コミックス単位」での消費ではないから「部数」とは何の関係もない。しかし、たとえばインプレスの『電子書籍ビジネス調査報告書2018』によれば「マンガアプリ広告市場」は2017年が100億円、2018年は推計120億円とされている。

部数ばかり気にするということは、年間120億円の市場を無視してマンガを語るということだ――600円のコミックスで120億円売り上げを作るには2000万部も必要なのに、だ。

音楽市場では、例えばBillboradチャートはかつてはレコードやCDなど盤の売り上げを重んじていたが、今ではフィジカルセールス(パッケージ型の販売数)だけでなくApple MusicなどストリーミングサービスやYouTubeの動画再生回数などもカウントしてランキングを発表している。

そうしないと本当の人気が測れないからだ。

次ページ収益の多様化=人気指標の多様化
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