コミックスの「累計部数」は時代遅れの指標だ

マンガアプリがマンガの売り方を激変させた

ここ数年で急速に浸透したマンガアプリ。右は小学館「マンガワン」、左はLINE「LINEマンガ」(写真ː編集部撮影)

東洋経済オンラインの読者には、『週刊少年ジャンプ』に「ドラゴンボール」や「スラムダンク」が連載され、発行部数660万部にまで達した「マンガ雑誌の最盛期」を体験した世代が少なくないだろう。『ジャンプ』連載をもとにしたコミックスの累計発行部数は「ドラゴンボール」が1億6000万部、「スラムダンク」が1億2000万部と驚異的な数字を残している。

しかしその『ジャンプ』ですら近年では最盛期の4分の1となる170万部台まで落ち込み、出版科学研究所によれば、マンガ雑誌の売り上げは最盛期の1995年には3357億円だったが、2017年には953億円(電子雑誌36億円含む)にまで縮小してしまった。

マンガ雑誌凋落=マンガ産業の死ではない

若い頃に比べて熱心にマンガを読まなくなった世代でも、なんとなくそのことを残念に感じているのではないだろうか。

しかしマンガ雑誌の凋落は、「マンガ産業が死につつある」ということを意味しない。むしろ雑誌やコミックスの部数(だけ)を気にしている人間こそが旧時代の遺物になりつつある。

雑誌とコミックス単行本を合わせた2017年のマンガ市場の規模は推計4330億円(紙2583億円、電子1747億円)。より重要なことは、2017年にはコミックスの電子版売り上げが1711億円となり、紙のコミックスの売り上げ1666億円を上回ったことだ。

「たしかにマンガってけっこうかさばるし、置く場所もないから最近はKindleとかで買っている」と思い当たる節のある方や、周囲にそういうことを話している人を知っている方も多いだろう。しかし「電子の売り上げが紙を上回った」とは、単にいわゆる「電子書籍」への移行を意味しているのではない。

この背景にはマンガアプリの浸透――とくに「LINEマンガ」や「pixivコミック」といった既存出版社以外の企業が運営する「マンガアプリ」の存在がある。

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