日本の「水力発電」を増強する4つの改革案 「再エネのエース」をどう活躍させるか
福島第一原発事故により、福島県は深刻な経済的危機に陥っており、再生可能エネルギーを新しい産業として育てようとしている。そして、昨年設立された「福島水力発電促進会議」は、再エネ開発の強力な推進役として特に水力発電の増強を図っている。
同会議の座長を務める竹村公太郎氏によれば、既存ダムの能力増強により、水力発電量を2~3倍に増やせるからだ(「福島はなぜ「水力発電」の増強を目指すのか」)。
ところが、福島での水力発電増強の実践に伴って数々の問題点が見えてきたと、「水力のプロ」である竹村氏は語る。このたび『水力発電が日本を救う ふくしまチャレンジ編』を監修した竹村氏に、問題解決のための4つの提言を聞く。
水力発電増強を阻むバックアロケーションの問題
水力発電増強を阻んでいるものの1つは、バックアローションの問題です。施設を造るとき、利益を得る者が建設費用を負担すべきだとする原則があり、この原則を後から参加した利用者に適用することを、「バックアロケーション」と呼びます。
私たちが計画している、木戸ダム(福島県楢葉町)という多目的ダムに新たに水力発電設備を設ける事業の場合、バックアロケーションは44億円という巨額になります。試算してみるとFIT(固定価格買い取り制度)を使って20年間に得られる総収入のうち、3分の2がバックアロケーションで消えてしまうのです。
これは木戸ダムだけではなく、中小水力発電のほとんどに当てはまる事態であり、バックアロケーションは事業化を阻む大きな壁となっています。
福島で水力発電増強の計画を推進するうち、このほかにもさまざまな壁があるとわかってきたのです。
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