アメリカで「アジア人の映画」大ヒットの理由

「クレイジー・リッチ!」は人種を超えるか

『クレイジー・リッチ!』の監督と出演者。映画は主要キャストがアジア人にもかかわらず、全米でヒットの様相を見せている(写真:Rozette Rago/The New York Times)

ジョン・M・チュウ監督の映画『クレイジー・リッチ!』の原作は、ケビン・クワンが2013年に発表した小説『クレイジー・リッチ・アジアンズ』だ。ぜいたくざんまいの宴やヘリコプターを使った逃走劇、シンガポールの豊かな海辺の描写といった、映画化してくれと言わんばかりの道具立てがそろっているが、クワンは執筆当時、まさか本当に映画になるとは思ってもみなかったという。

「自分でもとても映画的な物語を書いたと思う。だが映画化を夢見たことがあったかと言われれば、完全にノーだ」と、クワンは17日、ニューヨーク・タイムズとの電話インタビューで語った。「そもそも、出版にこぎ着けるとも思っていなかった」。

1993年ぶりに主要キャスト全員アジア人

物語は出版されてベストセラーリストの1位になったばかりか、映画化されて北米映画興行収入ランキングでも首位に躍り出た。その背景にはアジア系起業家らの支援により各地で開かれた試写会や、映画評で激賞された効果もあった。主要キャストが全員アジア系で、なおかつ現代を舞台にしたハリウッド映画は、1993年の『ジョイ・ラック・クラブ』以来初めてだ。

まだ公開されて間もないが、ハリウッドではすでに、これまでとは違うタイプの物語への需要が高まっているとクワンは言う。以下はインタビューの抜粋だ。

――映画を見た人からの反応で最高だったと思うものは何か。

フィラデルフィアで行われた試写会に行ったら、50歳代の白人の男が2人来ていた。そのうち1人がこう言った。「映画を見て泣いたことなんて長いことなかったのに、泣いてしまった」。すると友達のほうもこう応じた。「ああ、私も泣いたよ」。

そもそもターゲットとなる観客層ではなかったはずの彼らが泣いたことを認め、自分自身の反応にびっくりしている様子を見るのはおかしかった。彼らの話を聞けて本当にうれしかった。なぜなら、これはまさに私たちが当初から信じていたこと、つまりこの物語は人種の壁を超えるということを示しているからだ。

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