剣が峰の関西経済、中国輸出が減速、頼みの綱は薄型テレビの大型投資だが…
中小企業は先に不況入り 中国向け輸出も急減速
しかも売り上げ不振など不況型が倒産件数に占める比率が、関西ではこの9月で86・9%(全国は80%弱)に達し、7割を目安に据える帝国データバンクの定義ではとうの昔に不況期入り。「さらに景気が悪化すれば、関西では年越しの資金繰りなど中小企業の経営がさらに厳しくなる」と、帝国データバンク大阪支社情報部の西島茂部長は懸念を示す。大阪商工会議所も「まだ貸し剥がしは聞いていないが、次の借り換えを心配し始めている」と言う。
もっとも、積み上がる悪化指標の中で、関西には他の地域にない有利な条件もある。その一つが、比較的経済が堅調な中国、アジア向けの輸出に占める比率が07年で59%となっていて、全国平均よりも11%も高いこと。米国・欧州向け依存度は逆に7%近く低い。関西の輸出は8月も3・6%と77カ月連続の増加。米国向けが15%台の減少の一方、中国を含むアジア向けが増勢は弱まるが8%台の伸びを保っている。
だが、そこに衝撃的な数字が飛び込んできた。9月の日本全体の輸出額が欧米向け減少に加え、中国、アジア向けでもそれぞれ1・7%増、2・9%増へと急減速したのだ。航空貨物便も同じ動きだ。関西国際空港発着の今年冬の貨物便は42便減る。世界的な景気悪化で、9月以降国際航空貨物の停滞は顕著。関西が頼りにする中国の経済成長率も7~9月期にそれまでの10%超から9%にブレーキがかかり、世界不況の影が忍び寄る。アジア輸出で景気悪化をしのぐシナリオにも不透明感が漂う。
もう一つの景気牽引役は、製造業中心の旺盛な設備投資である。
財務省調査では近畿の設備投資は08年4~6月期も3・5%増と堅調で6・2%減の全国を上回る。日本政策投資銀行の調査では、関西の08年度設備投資計画は全産業で3・8%増(07年度は23・3%増)。特に製造業に限れば、07年度の23・4%増に続き08年度も30・1%増と高水準だ。「実際の着地は30%を切るだろうが、(首都圏の25・8%増を別にすれば)他地域に比べ突出する。09年度も関西の設備投資は高いだろう」と、日本政策投資銀行関西支店の深井勝美・企画調査課長は言う。