香川の離島が「現代アートの聖地」に化けた訳 安藤建築と「3人の芸術家」の融合という難題
まずは美術館の建設予定地で下見
建築家が安藤忠雄さんに決まり、クロード・モネを中心にしてウォルター・デ・マリアとジェームズ・タレルが競演するというプランに対して、(プロジェクトの中心人物である、ベネッセホールディングス現名誉顧問の)福武(總一郎)さんは満足しているようだった。
場所の下見のためにデ・マリアとタレルを直島へ招いた。確か2002年頃だったと思う。タレルは忙しそうだったが、機会を見て直島を訪れてくれた。デ・マリアも同様にこのために直島を訪れている。
今、地中美術館が建っている場所のアイデアは、以前から福武さんの頭にあったものである。ベネッセハウスのカフェからその小高い山は見える。福武さんがデ・マリアを促すように庭に出て、モネを展示する予定地を指しながら、あの場所で考えていると伝える。デ・マリアは目の前の風景に目をやりながら「ベネッセハウスから少し距離があっていい」と言い、続けて「美術館の外観によって山の稜線を崩すことは避けるべきだ」と付け加えた。
福武さんもそれに同意した。デ・マリアも福武さんも、瀬戸内の緑と海の風景を壊さないほうがいいと考えたのだ。
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