日本の牙城「台湾鉄道」で韓国新車落札の真相

実は日本メーカーは「不戦敗」だった

総合車両製作所が受注したバンコク・パープルライン向け車両(撮影:尾形文繁)

JR東日本が経営の“第4の柱”として設立し、車両輸出力の強化もうたわれていた総合車両製作所(J-TREC)も、2013年に受注したタイ・バンコクのパープルライン用車両を製造して以来、海外向け車両受注の音さたなしである。やはり、ここでも設計やり直しなどのトラブルが生じたのはすでに知られているところである。

現在、JR東日本も参画し進行中のインド高速鉄道プロジェクトでは、東北新幹線タイプの車両が導入される。そのときには、総合車両製作所が何らかの形で車両製造に加わる可能性はあるが、親会社がかかわらない海外案件に対しては積極さが見られない。

日本勢の存在感を示せるか

台鉄からの大規模受注を逃した今回の一件は、いわば日本の不戦敗である。しかも、他の海外案件に比べれば、日本に有利な状況下にもかかわらず、日系メーカーが入札にすら参加しないというのは、財務的余力、そして人的余力の払底という日本の車両製造業界の現実を物語っている。

しかし、目先の利益だけに注視していては、日本製車両の牙城となりつつあった台鉄という市場も、瞬く間に他国の手に渡るだろう。だからこそ、ある程度国内需要のあるうちに、海外での地場固めをしなければ取り返しが付かなくなるのは想像に難くない。鉄道インフラ輸出戦略を掲げる政府関係者は、はたしてこの状況をどう見ているのだろうか。

車体傾斜(振り子)機能を備えた日立製のTEMU1000型(編集部撮影)

故障が頻発したEMU500型も導入から約25年が経過し、韓国の設計寿命から考えると置き換えられても不思議でない時期に達しているが、こちらはリニューアルが開始され、現役続投となる。つまり、今回の新車520両投入で台鉄の韓国製車両は純増となる。今後予定されている特急型車両の調達では、先例からすると車体傾斜機能を要求されることも予想されるが、そこで日本勢がどこまで存在感を見せられるか。日系メーカーのリベンジマッチに期待したい。

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