途上国版ドラゴン桜「e-Education」の軌跡 デジタル教育でイノベーション起こしたNPO
2017年の5月から三輪さんはバングラデシュに生活拠点を移し、e-Educationの活動だけではなく、バングラデシュと日本の橋渡しとなって人材紹介も行っていらっしゃいます。
バングラデシュは直近10年にわたって6%以上のGDP成長率を記録しており、IT化も急速に進んでいます。
Amazonとアリババが手を組んでバングラデシュの郵便局開拓の事業を受託したり、UBERのサービス展開がはじまったりと、外資系企業の参入も活発です。ITを活用している企業は、法人税と輸出入税が10年間0円になるので、今後バングラデシュのマーケットはよりにぎわいを見せていくでしょう。
人材の成長も著しく、非英語圏に限って言えば、TOEICのスコアがいちばん高いというデータもあります。国家の政策が進んでいけば、全土で学力がさらに底上げされることは間違いありません。
アジア最貧国というフレーズが過去の遺物になるのは、もはや時間の問題です。
よそ者・わか者・ばか者がキーワード
途上国を支援したいと思っても、そう簡単に行動を起こせるものではありません。e-Educationに所属している人たちには、何か共通点があるのか。対談の最後に聞いたところ、よそ者・わか者・ばか者という3つのキーワードが出てきました。
「日本人であるわれわれは、バングラデシュの人々からするとよそ者です。しかし、よそ者だったからこそ、先入観を持つことなく、内部からは見えない光を見つけることができました。そして、わか者。ただ単に年齢が若いという意味ではありません。自分の弱さを認めた上で他者に共感できる人を、私はわか者として位置付けています。
e-Educationには高木というインターンスタッフがいました。彼は高校生のとき、勉強についていけず不登校になりました。e-Educationに入って教育事業に携わった際、彼は高校時代の自分と改めて直面することになったのですが、そこで逃げずに弱さを認めたからこそ、途上国の子どもたちが勉強に感じている難しさに共感できた。彼がラオスの教育発展において多大な貢献をしたのは、その共感の力が大きかったと思います」(三輪さん)
最後にばか者。失敗を楽しむ心を持ち、ピンチをチャンスに変える人たちを、e-Educationは「ばか者」と呼んでいます。自身もばか者だと語る三輪さん。現在バングラデシュを拠点に活動している背景には、逆境を乗り越えてきた物語がありました。
「2年前にバングラデシュでテロ事件が起こった時、多くの方からバングラデシュで活動するのは危険だとアドバイスいただきました。ただ、私はこれをチャンスにしようと決めたのです。
真っ暗だからこそ見える光があり、その光は今まで以上にバングラデシュを照らすものになる。これからもバングラデシュや途上国の可能性を信じて、ピンチをチャンスに変えていこうと思います」(三輪さん)
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