途上国版ドラゴン桜「e-Education」の軌跡 デジタル教育でイノベーション起こしたNPO

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三輪さんたちはバングラデシュの予備校街に足を運び、協力してくれる講師を探し続けました。その熱意が伝わったのか、徐々に講師は増えていき、予備校街でのNo.1英語講師も参加してくれることになりました。

それから2カ月かけてさまざまな授業を撮影してDVD教材に落とし込み、首都ダッカから船で6時間の距離にある、先生のいない村にDVD予備校を開設しました。

すると半年後、1名の学生がバングラデシュのNo.1国立大学であるダッカ大学に合格したのです。

ダッカ大学は、日本で言うと東京大学に該当する難関校。1年目からダッカ大学への合格者を輩出したニュースは瞬く間に広まり、日本では「途上国版ドラゴン桜」とも呼ばれました。

DVDが配布されるエリアも増えていき、e-Educationの設立から8年経った今、現地の難関国立大学に合格した学生は200名以上。コンテンツの精度の高さはあるにせよ、バングラデシュの学生が持っている学習意欲と吸収するスピードには驚かされます。

「バングラデシュの人々は、これからは自分たちが主人公だというハングリー精神を持っています。先進国の人たちは途上国を上から見てしまう傾向がありますが、ハングリー精神や生き方など、見習うべきところはたくさんある。私自身、バングラデシュの人々に対するリスペクトは増していくばかりです」(三輪さん)

国家を巻き込んでいくNPO

2015年、e-Education主導のもとで「デジタル教育国際会議」が開催されました。映像教育をバングラデシュ全土に発信するためには、デジタル教育を国家政策として行う必要性があると判断したのです。

会議には、中央銀行総裁や教育大臣、ダッカ大学学長などが集結しました。教育課題の解決に向けて話し合いがなされ、教育省はバングラデシュ全土で計400万台のPC導入を決定。そのPCにe-Educationのコンテンツを取り入れる話も進んでいます。

さらには中央銀行が進めている授業の公共財化にもe-Educationのコンテンツがかかわっているように、国家を巻き込む形で影響力はどんどん広がっています。

バングラデシュだけにとどまらず、これまでに14カ国・15000名の学生に映像コンテンツを届けています(写真:ファクトリエ提供)
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