遺産額が少ないほど相続争いは起こりやすい 普通の人こそ「遺言書」が必要な切実な理由
8月は離れている兄弟などの家族が顔をあわせる機会の多い月です。特にお盆の時期の前後には、ぜひとも意識しておきたいのが「相続」についてです。相続は「いざ親が亡くなって当事者にならないと自分事にならないこと」の1つでしょう。よほどの資産家でない限り、顧問弁護士や税理士はいないので、生前に対策をしている家庭はほとんどないと思います。
しかし、実は大して資産がなくても、この問題を放置しているとあとから面倒なことになり、ものすごく嫌な思いをすることになります。では、普通の家庭に生まれた人は、いつから相続問題に向き合うべきか。そして、親子どちらから、この問題を切り出すべきか。今回は誰もがハッピーになれる相続問題との向き合い方についてお話していきます。
相続争いの7割以上が「遺産額5000万円未満」
相続が煩わしいのは、兄弟姉妹、親戚、夫婦などの肉親同士でもめやすく、その関係性が「争族」となってしまいがちだからではないでしょうか。ですから、少なくても、親が元気な60代のうちに何かしらの対策をしておく必要があるのです。なぜなら、70代に突入してからだと、事がスムーズに運びづらくなるからです。健康寿命は男性が71.10歳、女性が74.21歳といわれ、それ以降だと健康を害しやすく、肝心の父や母の「認知症リスク」も高まります。病人を前に相続の話はしづらいでしょう。
「そんなこんな」で、見て見ぬふりをしたまま月日が経過し、やがて両親が亡くなり、兄弟姉妹で相続が始まります。
2015年度の司法統計年報(家事事件編)によると、相続紛争の32%が相続金額1000万円以下で、44%が1000~5000万円未満でした。持ち家と多少の現金があれば、後者の金額にはなります。つまり、こうしたごく普通の家庭(相続額5000万円未満)でも、8割弱が相続で裁判所のお世話になっているのです。
「うちに限って」「うちは財産がないから」という普通の家庭が、実は一番もめやすいのです。専門家の間では「相続は最後の兄弟ケンカ」といわれ、親の死を境に関係がこじれたり、夫の兄弟との相続争いで苦しい思いをする妻との仲がこじれやすくなります。
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