「泣き虫しょったんの奇跡」に学ぶ諦めない心 編入のプロ棋士・瀬川晶司の自伝が映画に
中学生にしてプロ棋士となり、高校生となった現在もなお快進撃を続ける藤井聡太七段の活躍で、今、将棋ブームが到来している。各地の将棋教室は活況を呈しており、「将来はプロになりたい」と夢を抱く子どもたちも多いという。
だが、プロ棋士は狭き門であり、晴れてプロ棋士となることができるのはほんのひと握り。プロ棋士の養成機関である奨励会には「26歳の誕生日を迎えるまでに四段に昇段できなければ退会」という厳しい規定がある。ほとんどの若者は夢破れ、将棋の世界から去っていく者も少なくない――。
現在、プロ棋士として活躍する瀬川晶司五段は、かつてはその26歳の壁にぶち当たり、奨励会を退会したひとりだった。一度は夢をあきらめ、サラリーマンとして働いていた彼だが、アマチュア界で将棋を指し続ける。しかし、たびたびプロ棋士を破るシーンが増え、周囲から「プロへの再挑戦のチャンスを」という機運が高まっていく。そして、35歳にして「やっぱりプロ棋士になりたい」と再チャレンジを表明する。
編入試験でプロ棋士になった瀬川晶司の自伝を映画化
61年ぶりとなるプロ編入試験を実現させ、そして2005年、奨励会退会者がプロ編入を果たすという誰もが予想もしなかった奇跡を起こした。そんなプロ棋士・瀬川晶司の自伝を映画化したのが、9月7日に公開予定となる映画『泣き虫しょったんの奇跡』である。
主人公の瀬川晶司を演じるのは、俳優の松田龍平。くしくも松田自身、瀬川五段がアマチュアからのプロ棋士編入という偉業を成し遂げた時と同じ35歳という年齢を迎えており、この役に「自分が本当にやりたいことに対して、自分がどれだけ魂を注いでいるのかという晶司の気持ちに投影することが多かった」という。
さらに本作の原作者である瀬川五段から直接、将棋指導を受けた松田は、瀬川自身の将棋を指す手つきやクセ、特徴などを徐々につかんでいった。そんな松田の芝居を、瀬川五段も「仲の良いプロ棋士の方たちにも本作を観ていただいたのですが、『観ているうちに松田さんが瀬川さんにしか見えなくなった』と言われることも多くて。僕の内面や心情を見事に表現してくださいました」と称賛する。
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