鴻海は本当に儲かっているのか 注目の海外企業【第4回】

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鴻海の売上高、売上総利益(粗利)、当期純利益を見てみよう。売上高に比べると、売上総利益や当期純利益は小さい。同社の売上高を総合的なサービスの取扱高と考えると、日本の総合商社の売上高のようなものかもしれない。試しに、大手商社の伊藤忠商事の2013年3月期の売上高、売上総利益、当期純利益に比べてみると、ほぼ匹敵することが分かる。ただ、鴻海の従業員数は129万人だが、伊藤忠商事は8万人足らずであり、鴻海の売り上げは従業員の労働の結果のかたまりであり、極めて労働集約的なサービスであることが分かる。

鴻海の売上高はアップルにかなり近いが、当期純利益は10分の1以下にとどまる。アップルがiPhoneやiPadなどの製品が最終消費者に与える高い付加価値に見合った高い利益を享受しているのに対して、鴻海があげている利益は基本的に大量生産によるコスト削減により生み出した利益ということになるだろう。

 鴻海では、売上高に対する利益の比率は低いが、投資の採算は悪くない。売り上げ規模が大きい割に投下されている資金は大きくないからだ。ただ、売り上げの拡大とともに投資額は増えてきたが、それに対応するほどに利益は伸びていないため、投資に対する利益のあがり方(投資採算)は、この10年間に低下してきた。それでも、2012年時点でも、投資採算を示す投下資本利益率(当期純利益÷(有利子負債+自己資本))の絶対水準はいまだに8%を維持しており、この水準は決して低くはない。

児玉 万里子 財務アナリスト

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こだま まりこ

こだま・まりこ■津田塾大学卒業。1978年三國事務所に入社、債券格付けなどに従事し、2009年独立。現在はフリーの財務アナリストとして財務諸表分析、財務戦略、企業評価、信用リスク管理などのコンサルティング業務、講演などを行う。専修大学非常勤講師

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