1位は川崎市、ふるさと納税「実質流出」の実態

年間40億円超、学校の建て替え費用に匹敵

前年2位の川崎市は、今回初の流出額1位になった。市の担当者は「人口が増えているので、税収も増えている。流出はある程度仕方ない」とやや諦観する。都心へのアクセスの良さから、高額所得者を中心に人口が増えていることが大きな要因と見られる。

流出額2位の東京・世田谷区では2017年度に40.8億円の税収が“消滅”した。保坂展人区長は「40億円は学校1〜2校分の建て替えに必要な額。毎年1校ずつ実施してきたが、こうした行政サービスができなくなる」と強い懸念を示す。

同区では2008年のリーマンショック時に税収が100億円近く減り、その穴埋めに約4年かかった。「今後も流出が続けば、当時と同じような打撃になる」(保坂区長)。

23区の区長が野田総務相に陳情

都市部の危機感は高まっている。東京・杉並区では、寄付が集中する年末を控えた昨年11月、「住民税が流出しています」と記したポスターを配布した。同区の担当者は、「議論を活発にしたいと考え、やや扇動的なポスターを作った。(区民税の流出により)何か計画を止めるということはないが、少しずついろんなサービスから経費が引かれていく」と話す。

当記事は「週刊東洋経済」8月11-18日号 <8月6日発売>に掲載の記事に一部加筆したものです

7月17日には23区の区長で作る特別区区長会が野田聖子総務相に対し、税控除の上限額設定や地方交付税による補塡の仕組みの見直しを盛り込んだ要望書を提出した。

本来、ふるさと納税は応援したい自治体への寄付だ。西日本豪雨では、茨城県境町など手を挙げた30自治体が「代理受け付け」を行い、6億円以上の寄付を被災地に送っているほか、直接の納税も5億円以上集まっている(8月2日現在)。返礼品競争ばかりでなく、本来の制度趣旨に立ち戻る時かもしれない。

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