ベンツがカーシェアで狙う脱「高嶺の花」 ドコモと初タッグ、「無料試乗」は最大2時間

拡大
縮小
アウディのレンタカーサービスは、予約すれば車を持ってきてもらえるため、ディーラーに出向く必要がない(記者撮影)

レンタカー業界では近年、輸入車の品ぞろえを充実させているが、アウディ・オン・デマンドではつねに同社の最新モデルを取りそろえられるのも強み。サービス単体での収益化が目標である一方で、アウディジャパンの斎藤徹社長は「新車購入を検討している人でもディーラーは敷居が高いところもある。まずは試乗したいというニーズも期待できるのではないか」と話す。

カーシェアの普及によって一般的によく指摘されるのが、新車市場が侵食される可能性だ。この点で、三井不動産リアルティが今年6月に公表したアンケート調査は興味深い。自家用車を所有したことがない会員のうち、20代以下で31.7%、30代で28.1%が「カーシェア利用後に購入を考えるようになった」と回答した。カーシェアによる運転体験が逆に新車購入の動機づけになり得ることを示していると言える。

試乗体験を購入につなげられるか

前出の貝瀬氏は「現在のところ、カーシェアは新車市場に巨大なインパクトがあるわけではない」としつつ、「輸入車は価格などのハードルが高い分、試乗による良質な経験が購入に結びつく可能性は、国産車に比べて相対的に高いと思われる」と評価する。

東洋経済オンライン「自動車最前線」は、自動車にまつわるホットなニュースをタイムリーに配信! 記事一覧はこちら

ただ、メルセデスもアウディも現時点ではサービス対象地域や期間などにおいて限定的なサービスにとどまっており、シェアリングによる利用が新車購入につながるという確信にまで至っているわけではない。双方とも今後の利用状況をみて、サービス拡大を検討していくとしている。サービスに投入する車種や対象地域の選定、新車購入への誘導方法など、ノウハウの確立まで各社とも手探りの状況がしばらく続きそうだ。輸入車各社はクルマ離れが進む消費者を振り向かせることができるか。

岸本 桂司 東洋経済 記者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

きしもと けいじ / Keiji Kishimoto

全国紙勤務を経て、2018年1月に東洋経済新報社入社。自動車や百貨店、アパレルなどの業界担当記者を経て、2023年4月から編集局証券部で「会社四季報 業界地図」などの編集担当。趣味はサッカー観戦、フットサル、読書、映画鑑賞。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT