「新聞ダイジェスト」休刊から復刊への舞台裏 事実の経過を追うだけではない誌面を作る

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――休刊、そして復刊に至るまでの8カ月、編集部ではどのような動きがあったのでしょうか。

月刊誌の『新聞ダイジェスト』はスタッフ3人が制作にあたっている(写真:新聞ダイジェスト)

休刊が決まってからはまず、定期購読をいただいていた読者の皆さんへの返金作業を行いました。そして、それと並行して各新聞社への事情説明とご挨拶まわりを。その後、それまで増刊号の制作を担当していたスタッフの方などに声をかけ、復刊に向けた具体的な体制づくりを進めていきました。

ありがたいことに、休刊を告知してから、長年の定期購読者の方などから激励のお言葉を多数いただきましたし、復刊が決まってからもまた、喜びのお電話をたくさんいただきました。長い『新聞ダイジェスト』の歴史が、確固たるファンの方に支えられてこそのものだと、あらためて実感しています。

この時代に「新聞ダイジェスト」が果たすべき役割とは?

――休刊前と復刊後では、編集部の体制や誌面づくりの方針などに変化はありますか。

休刊前も今も、実際の制作に携わる編集部員は3人です。この人数を確保できるめどが立ったところで、復刊に向けて動き始めました。

今はただ事実の経過を追うだけならインターネットのほうが早い。だからこそ誌面づくりでは、よりニュースの背景や事情を深掘りできる構成を意識しています。例えば森友・加計問題にしても、これほど長期間にわたって世間をにぎわせている話題を一から知ろうとする場合、ネット記事だけでは時系列を追いにくい。そこで『新聞ダイジェスト』のバックナンバーを数冊チェックすれば、新聞の記事展開を見ることで、時間軸に沿ってニュースを追うことができます。

――なるほど。今この時代だからこそ、紙ならではの特性が生きる面もある、と。

そうですね。基本的には、後から振り返った場合の資料としての使いやすさを重視しています。そのため、復刊にあたっては特集ページのボリュームを以前より大幅にアップさせているんです。例えば「平昌五輪」(4月号)や「日米首脳会談」(6月号)など、各紙で大きく取り扱われた話題は、ただダイジェストで振り返るのではなく、周辺の知識や背景まで押さえられるように、特集づくりでは意識しています。

――毎日、さまざまなニュースが流れる中、『新聞ダイジェスト』誌面に転載するニュースのセレクト基準は何でしょうか。

純粋に、読者の方にとって発見や学びがありそうな話題を優先しています。誌面は計176ページ、そのうち新聞記事の掲載が150ページ程度。つまり単純計算で、6紙の記事を毎日平均5ページでまとめなければならず、大半の記事は泣く泣く落とさざるを得ないわけです。その中で、よりバリューのあるニュースの骨格と背景が理解できるような構成を考えて記事をセレクトしています。

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