「新聞ダイジェスト」休刊から復刊への舞台裏 事実の経過を追うだけではない誌面を作る
休刊の原因はスタッフの高齢化と人手不足
――1967年から半世紀にわたって刊行されてきた『新聞ダイジェスト』の休刊は、メディア業界の中で話題となりました。まずは休刊に至った理由から教えてください。
一番の理由は、編集に携わるスタッフの高齢化と、それに伴う人手不足でした。『新聞ダイジェスト』の現場は、特殊な編集業務を要するため、なかなか後継のスタッフを育てるのが難しい。そこで、体制を根本から見直す時期に来ているのではないかと考え、いったん休刊することに決めました。その時点では、具体的に復刊の見通しが立っていたわけではないのですが、できれば1年以内に体制を立て直して戻ってきたいと考えていました。
――特殊な編集業務というのは、具体的にはどのようなものでしょうか。
『新聞ダイジェスト』は朝日・毎日・読売・日経・産経・東京の計6社の新聞社と契約を結び、1記事単位で二次使用料をお支払いする仕組みを採っています。この際、各社それぞれの記事単価が異なりますが、ニュースの内容を第一に、全体の予算やコストパフォーマンスも見ながら記事をセレクトする必要があります。
また、記事はデータではなく、すべて紙面で提供されます。そのため手作業で記事を切り抜いてスキャンし、配置しています。セレクトした記事は、見出し部分のみ書体をそろえて打ち直したり、少し縮小したりしながら、『新聞ダイジェスト』のB5判の誌面にうまく収めなければなりません。非常にアナログな作業ではありますが、記事を選ぶ基準をはじめ、独特のコツを要する編集なんです。