ベンツが注目!3つの単語で表す「住所」革命 世界を57兆個に分割、英国ベンチャーの威力

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「創業当初から、われわれは“音声”を前提にシステムを設計した」と、ジョーンズ氏は明かす。what3wordsの創業メンバーたちは、人間と機械のコミュニケーションにおいて音声が主役になると見越して、3つの単語による位置情報の表現を編み出したのである。

what3wordsのクレア・ジョーンズCCO(チーフ・コマーシャル・オフィサー)は、企業との提携などを統括する(記者撮影)

来る自動運転時代に、ドライバーがいない“ロボットタクシー”に乗ることを考えてみる。目的地が近づいた際、交差点を左、次の信号を右、といった指示を出すことは容易ではない。始めからスマホアプリや車内のマイクなどに3単語で目的地を吹き込んで3メートル四方の正確な地点を指定しておけば、迷うことはない。

音声認識に適した単語の組み合わせ

3つの単語の組み合わせも、音声認識に適したものが考えられている。たとえば比較的近隣の場所に、似たような発音の単語の組み合わせは割り当てていない。誤って別の場所を指定してしまう事態を避けるためだ。類似する単語や発音の組み合わせは、互いに遠くの場所が設定されている。たとえば、「lemon.banana.apple」はオーストラリアの砂漠地帯で、「melon.banana.apple」は米国ニューメキシコ州だ。

自動車や物流だけでなく、what3wordsと相性がいいのが「インスタグラム」をはじめとするSNSだ。旅行先で見つけた感動的な風景など、自分が見つけた位置情報タグのないスポットを簡単に共有することができる。「#what3words」というハッシュタグで検索すると、世界でさまざまな位置情報が投稿されているのがわかる。

東京・渋谷のスクランブル交差点内の、ある3メートル四方の場所は「しなもの・くうこう・うちあげ」という名前だ(写真:what3words)

英語や日本語だけでなく、現時点で26言語に対応している。新たな言語に対応する際は、単に英語版を翻訳するのではなく、それぞれの言語でまったく新しい3つの単語を割り振っている。ロンドン本社の言語担当の部署が世界中で数百人のフリーランスの言語学者と契約し、各言語で単語リストをつくる。数百の言語で研究を進めており、1言語ごとに6カ月の開発期間を設けている。

単語リストの基準は、①なじみのある言葉かどうか、②短い言葉であるかどうか、という2点だ。日本語の場合は2万5000語のリストが存在し、数学を用いたアルゴリズムによって、57兆とおりの3単語の組み合わせを自動で割り当てる。

さらに注目すべきは、これがネットにつながっていないオフライン状態でも作動することだ。一度振り分けられた3単語は、永遠に変わることがなく、言語リストの組み合わせは単なる文字データなので、全世界でもたったの12メガバイト分のデータにしかならない。住所のように膨大なデータベースを必要としないため、海外旅行や災害時でも使える。

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