楽天モバイル、「3年契約」に潜む落とし穴 総務省方針に背く「囲い込み」の問題点とは?

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期間中に解約すると、各社とも一律で9500円(税別)の違約金を課す。これが多くのユーザーが直面する、キャリアの2年縛りだ。しかも、2年契約終了直後の25、26カ月目に解約をしないかぎり、この2年縛りのプランは自動更新されてしまう。

KDDIとソフトバンクは昨年秋から、通信の契約時に高額なiPhoneの端末代を「半額」にする代わりに実質的に4年契約を結ばせる、「4年縛り」も展開する。iPhoneの端末代を半額にする条件として、2年契約終了時のiPhone端末の返却に加えて、通信の2年契約プログラムの継続を盛り込む手法だ。

3年縛りに対する総務省の見解

利用者は契約時に結んだ最初の2年契約に加え、更新継続の2年契約の計4年間をまっとうしなければ、契約時に値引かれたiPhoneの端末代を含む高額の請求をされる。今のところキャリアが自主的に、こうした売り方を根本的に改めようとする動きはない。

楽天モバイルの店内には「2年間ずっと1480円~」という文言が大きく掲示されている(記者撮影)

ただ、総務省や公正取引委員会が長期契約の拘束を問題視していることもあり、キャリア3社の通信契約は現在、最長で2年まで。iPhoneの実質4年縛りも実際の拘束期間はともかく外形上は、2年契約の更新で計4年という仕組みにしている。3年契約を展開しているのは、楽天1社のみだ。

6月に行われた楽天の夏商戦発表会で、大尾嘉宏人執行役員は「総務省の指摘は(2年縛りの)自動更新で利用者の選択を狭めることについてで、長期契約に対してではないと理解している」と述べた。楽天は契約の自動更新はしていない。

総務省の料金サービス課に問い合わせると、2年縛りや4年縛りと同様に、今の時点で法的に直ちに問題にはならないという。一方で、総務省の担当者は「利用者の観点から考えれば、3年間の期間拘束のあるプランに入ることがどんな意味を持つのか、店頭でしっかり説明をするのが望ましいだろう」と見解を示す。

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