「家出した妻」と話し合いを設ける手段は何か 拒絶され困惑する夫、応じてもらうには?
家出した妻が話し合いに応じてくれないが、法的に、話し合いの場を強制的に設けることはできないか――。このような相談が、弁護士ドットコムの相談コーナーに寄せられました。
相談者によると、夫婦は結婚して1年未満。少し前に妻が家出し、「別のアパートに暮らす」というメッセージが携帯電話で一方的に送られてきたそうです。突然のことで事前に相談がなかったといい、相談者は困惑している様子。話し合いを求めても、「今は冷静に話せない」という理由で、妻からは話し合いを拒否されているということです。
このような場合、話し合いの場を設けるためにどのような手段が考えられるでしょうか。中西祐一弁護士に話を聞きました。
民法は夫婦の同居義務を明記
――今回のケースで、夫側はどのような手段を取ることが考えられますか。
「家庭裁判所に、妻との同居を求める調停を申し立てることとなると思います。調停を申し立てられた場合、当事者は、調停期日に出席する義務があり、正当な理由がなく出席しなかった場合は5万円以下の過料という制裁があります。
しかし、実際には、『話し合うつもりがない』といった理由で調停に欠席する方も多く、現在の運用では、過料に処せられることはほとんどないようです」
――そうすると調停以外にどのような手段がありますか。
「妻が調停に出席しない場合や、出席しても話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所で、妻に対して同居請求審判を行うこととなります。
民法752条では、『夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない』と定めていますので、夫側の不貞行為やDVなど、妻が別居を求めることについて正当な理由がない限り、裁判所は、同居を命じる審判をすると思われます」