高齢の親だけで暮らせる家に欠かせない条件 施設に入れるより、住みやすく改修すべし
そのように、年老いてきている家族の心配をしている人たちに、一冊の本を薦めたい。包括的でありながら、手に余るほどの内容ではなく、とても役に立つ『自宅で暮らし続ける(Age in Place)』という本だ。著者のリンダ・G・シュレイガーは、過去37年間作業療法士として働き、うち13年以上は自宅にいる高齢者のための仕事をしてきた。シュレイガーは独立した高齢者の住まいの問題を解決すれば、高齢者は安全に、子どもたちも安心して過ごせると言う。
「少し改修をし、週に数回ヘルパーを頼んだとしても、自宅にとどまったほうがおカネはかからない」と、シュレイガーは言う。「支援を受ける住宅に住むよりも、ずっと有効におカネが使え、ずっと安い。しかし、親が転んで腰の骨を折るなどの、事故が起きる前に始めることが重要だ」。
床で寝転がるペットも「危険」の対象に
高齢の親を子どもたちが心配しても、親は「大丈夫だ」と答えることが多い。シュレイガーは、双方が譲り合えば、たいていはうまくいくと言う。
シュレイガーが提案するのは、「両親の家で数日過ごし、両親がどのように動くかを見て、どうすればより安全になるか、暮らしやすくなるかを考える」ことだ。「そうすれば、家は安全になり、両親はそこに住み続けられて、親も子も満足できる」。
同書は、高齢者の住宅について、1部屋ずつ対策を紹介していく。玄関から始まり地下室まで、高齢者にとって危険となる点について部屋ごとにアドバイスを提供し、手直しの仕方を教える。
たとえば、外から玄関までの通路では、転倒の危険を防ぐため舗装をし直す、照明を改良する、階段に手すりをつける、車いす用にスロープをつけたり入り口を広げたりするなどの改善が考えられる。
室内では、家具のデザインと配置が、動作が不自由な人に適したものかを確認する。つまずきそうなもの、たとえば、床の上のコードや飛び出している家具の脚、あるいは、階段や床の真ん中で寝転ぶ習慣があるペットなどを見つける。ずっと使っていないものや雑誌の山、ほかのさまざまな不要物は処分する。この点については、私自身も取り組む必要がある。不要なものにはホコリがたまり、ストレスになり、もっと有効に使える場所を占拠してしまう。