パイオニアの今期はプラズマ、カーエレ悪化で大幅下方修正、須藤社長が引責辞任
パイオニアは30日、今2009年3月期業績予想を下方修正した。修正後の売上高は従来予想から800億円減額の7000億円(前期比9.6%減)、営業損益は240億円減額し170億円の赤字(前期は109億円の黒字)に転落。最終損益は590億円減額し780億円の赤字(前期は180億円の赤字)。カーエレクトロニクスやプラズマテレビの悪化に加え、米国、英国工場の閉鎖を追加したことが響いた。下方修正に合わせて、須藤民彦社長は11月15日付で辞任することを明らかにした。後任はプラズマなどホームエンタテインメントビジネスを統括している小谷進常務が昇格する。
中期の見通しについても12年3月期に営業利益370億円の目標は達成困難な見通しとなり、小谷新社長の就任後、09年2月をメドに新しい経営計画を発表する方針。
営業損益の240億円減額のうち為替の円高影響が50億円、景気後退による販売減や競争激化による価格下落の影響が130億円だ。カーエレ事業は、市販カーナビゲーションシステム・カーオーディオが欧米で不調で、事業営業利益は当初見込みの200億円から100億円に半減する想定。プラズマなどホームエレクトロニクス事業の営業赤字は、従来予想から120億円悪化し270億円と赤字額が拡大する見通し。プラズマの年間出荷台数も35万台に下方修正したが、修正幅は2万台と小さく、台数減以上に単価下落の影響が痛手となっている。また、ホームエレではPC向けのDVDドライブなども収益力が低下している。
また営業外損益では、従来発表していた山梨など国内工場の閉鎖に加え、米、英のプラズマ組立工場も今期末に追加閉鎖するため、80億円の追加費用が発生する。このほか、有価証券評価損90億円、繰延税金資産の引当金125億円などを計上したことで、最終巨額赤字となる。
「東洋経済オンライン」は、今期業績について会社数値程度に予想を見直した。ただ気になるのは、下期の新製品導入に向けプラズマディスプレーと市販カーナビの在庫を積み増している点。欧米のクリスマス商戦に期待できない環境の中、この在庫が下期にどれだけ売り上げ化するか疑問が残る。来10年3月期についてもカーエレ、ホームエレにめぼしい材料が見あたらないため、従来予想を減額した。
(杉本 りうこ)
《東洋経済・最新業績予想》
(百万円) 売 上 営業利益 経常利益 当期利益
◎本2008.03 774,477 10,907 3,434 -17,992
◎本2009.03予 700,000 -17,000 -54,000 -78,000
◎本2010.03予 690,000 -19,000 -19,200 -19,200
◎中2008.09 327,042 -13,091 -36,877 -52,978
◎中2009.09予 322,000 -13,900 -13,900 -13,900
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1株益¥ 1株配¥
◎本2008.03 -98.2 7.5
◎本2009.03予 -380.5 0-7.5
◎本2010.03予 -93.7 0-7.5
◎中2008.09 -258.4 0
◎中2009.09予 -67.8 0
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