今回は梅雨明けが早かったことで個人消費がどの程度増加する可能性があるのかという観点から「史上最も早い梅雨明けの経済効果」を試算した。ただし、異例に梅雨の期間が短かった年は景気が悪いことが多いというジンクスもある。
7月の平均日照率および平均気温と、7月の実質消費の4~6月期平均からの伸び率を比較すると、連動性があることが分かる。直近2年は逆方向に動いていることなどを勘案すれば、必ずしも天候だけで消費の方向性が決まるわけではないが、ある程度の関係はありそうだ。
梅雨明けのタイミングと7月の日照率・平均気温の関係と、7月の日照率・平均気温と7月の実質消費の関係を用いて、今年の7月の実質消費を推計する。
7月の梅雨の日数と平均日照率・平均気温の関係によると、今年の7月は梅雨の日数が0日になることによって平均日照率が53.6%(2000年以降の平均より17.8%ポイント高い)、平均気温が28.7度(2000年以降の平均より2.0度高い)とみられる(いずれも東京のデータ)。
また、平均日照率・平均気温と実質消費の関係によると、7月の平均日照率が1%ポイント高くなることで7月の実質消費は0.05%ポイント増え、平均気温が1度高くなることで7月の実質消費は0.53%ポイント増えることが分かった。
これらを組み合わせて考えると、平均日照率の観点からは7月の実質消費は平年より0.9%ポイント高くなり、平均気温の観点からは1.1%ポイント高くなることが予想される。つまり、今年の7月の実質個人消費は0.9~1.1%ポイント上振れる可能性がある。以下では中間の1.0%ポイントの上振れを想定して試算を進めよう。
「史上最も早い梅雨明けの経済効果」は2500億円
1~3月期の実質民間最終消費支出は約74.9兆円であったことから、ひと月当たりでは約25.0兆円となるため、「史上最も早い梅雨明けの経済効果」はその1.0%ということになり、約2500億円と概算できる。年間のGDP(国内総生産)対比では0.05%程度である。2018年度の経済成長見通しを変更するほどではないものの、四半期ベースの成長見通しにとっては重要なプラス要因となる規模である。
なお、今回の試算結果は東京の気象データを全国の個人消費に当てはめて計算したことや、梅雨の日数が少なくても台風が多く上陸する場合などで平均日照率や平均気温がそれほど高くならない可能性があること、そもそも家計の景気認識や消費マインドの変化などによって天候とは関係がない個人消費の結果になる可能性があることなど、考慮すべき要因が多々ある点には留意が必要である。
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