夜行列車が欧州で「絶滅」せず走り続ける理由

LCCやバスの客がシフト、運行拡大へ署名も

また、オーストリアから他国に向かう列車については、各都市から出発する同じ目的地の車両を、国内の駅で1本の列車へと組み直す作業を実施(逆方向も同様)。列車をまとめることで、乗り入れにかかる線路使用料の削減を図っているほか、他国の朝通勤時間帯のダイヤへの影響を最小限に抑えている。

水色の車両はハンガリー国鉄、青色がナイトジェット。これらのほか、先頭にはチェコ国鉄の車両も連結されていた(スイス・Buch駅にて筆者撮影)

「各国のワゴン(車両)がこんな形でつながっているとは――。30年前にモスクワへ行った時以来だよ!」

筆者とブダペスト発チューリヒ行きの寝台車で同室となったハンガリーの研究者はそう口にした。

この列車は、ナイトジェット・パートナーとして運行しているハンガリー国鉄(MÁV)の夜行列車。ブダペストを出た時には出発国であるMÁVの車両のみで編成、ミュンヘン行きの編成を合わせて連結していた。ところが、チューリヒに着いた時には、ウィーン発チューリヒ行きのナイトジェットやチェコからやってきた車両も連結し、中欧3カ国の車両をつないだ列車となっていた。

冷戦時代、旧ソ連と東欧諸国を結ぶ列車は、通過する国の車両を連結したり切り離したりしながら、ゆっくりと目的地に向かうのが普通だった。研究者氏の脳裏に、かつての記憶がいきなり蘇ったというわけだ。

遠距離移動で大きなメリット

列車の編成は、1~3人用寝台個室車のほか、6人1室の簡易寝台車、そして6人分のシートを備えたコンパートメントの座席車からなる。かつて日本国内を走っていたブルートレインとは異なり、座席車があるのが特徴だ。

ナイトジェットの運賃は、基本的には乗車区間にかかわらず通常の2等座席は29ユーロから、クシェット(簡易寝台)は49ユーロから、そして寝台は69ユーロからとなっている。

混雑状況、利用時期、購入のタイミングなどによって値上がりすることがあるものの、距離に関係なく料金体系は同じだ。座席車なら60ユーロほどが上限と、片道1万円しない値段で遠距離移動ができるメリットは大きい。

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