日本国債めぐる、かつてないほどの異常事態

市場低迷がもたらしかねない6つの副作用

こうした日本国債の取引低迷が以前からあったのも事実だが、ここにきてその状況がさらに深刻化したと言われる。その理由は、4月に黒田東彦日銀総裁が再任となり、改めて「物価目標2%を達成するまでは現在の金融緩和策を堅持する」と強調したためだ。当初2年だったはずの異次元緩和が、すでに6年経過した現在も続いており、さらに今後も継続されることがはっきりした。

実際に、3カ月物の銀行間取引金利を示す「TIBOR(東京銀行間取引金利)」を予想して売買する先物取引では、1989年6月の取引開始以来、初めて「取引ゼロ」の状況に陥った。 そのTIBORの値そのものも2016年9月下旬以降、ほとんど変化していない。

また、金融商品の変動率(ボラティリティ)を示すものに「VIX指数」というのがあるが、日本国債の変動率を示す「S&P/JPX日本国債VIX指数」も、6月あたりからじりじりと下落しており、現在ではゼロ付近で推移し続けている。ボラティリティの大きさによって価格変動のシグナルとなることから、別名「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数も、日本国債のボラティリティのなさを示している。

安定的な収益確保ができた債券市場がなくなる?

そもそも債券市場は、世界中にある金融マーケットのひとつであり、その市場規模は株式市場よりはるかに大きい。国家が発行する「国債」をはじめとして、公社や公団などの政府の関係機関が発行する「政府関係機関債」、地方自治体が発行する「地方債」もある。これらを総称して「公社債」とも呼ばれる。

そのほかに、企業などが発行する「社債」、海外の国や公共機関、企業が発行する「外国債」などもあり、それらを全部合わせて債券市場と呼んでいる。こうした債券市場は、全世界で170兆ドル(1京8700兆円、2017年)にも達しており、2012年に100兆ドル程度だったことを考えると、ここ10年で急速な拡大を続けている。

ブルームバーグTVによれば、「500年以上の歴史を持つ債券市場で、市場最大の市場規模になっている」そうで、世界的に見ても現在の債券市場はバブルに陥っていることがわかる。

中でも、最大の市場規模を誇るのが米国の債券市場だ。現在の米国の債券市場は40兆ドル規模に達しており、米国株式市場の時価総額30兆ドルを10兆ドルも上回っている。

一方、日本の債券市場も、日本国債だけで1097兆円(2018年3月末)と、1000兆円を優に超えており、日本も債券大国と言っていいだろう。

世界はいま株高に沸いているが、株式市場に入ってきたマネーの多くは債券市場で調達されたおカネであり、株式市場がバブルだということは、債券市場もバブルであることを物語っている。グリーンスパン元FRB議長も、「現在は株式市場よりも債券市場がバブル」と発言。債券市場のバブルに対して警告を発している。

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